2011年04月26日

さくらいろ − 桜色

sakura,nami.JPG


ほんのり紫がかった淡紅色


いつになく、さっと花開いた気がして
散りはじめも早いのかと思っていたら
この花冷え。
思いのほか長く、桜を楽しめています。

芝生に寝ころんで見上げれば
桜の向こうには、広い空。

透けるような淡紅の花びらと空の青さが
なんとも心地よく
しばらく、じっとしていました。

風のように
水のように
生きていきたい。
そんな気になってきます。

お菓子も
そよ風にひらひら舞い散る「桜」と
雪どけ水を思わせる
情景にしました。


【桜色】
桜の花色には、白みがかった山桜の色と、やや紅がか
った染井吉野の色があります。平安時代には山桜の色
を言い、江戸時代に生まれた染井吉野が一般的になっ
た現代では、染井吉野の色を言うことが多いようです。
このお菓子は、染井吉野にちかいかもしれません。同
じ桜のお菓子でも淡い色あいの「花びら」もあります。







posted by mikk at 17:53| Comment(2) | 卯月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月10日

ふじのかさね − 藤のかさね




藤を表す、淡紫と萌黄のかさね


仙台の街を自転車で走りながら
紅梅を眺めていたのが少し前。
つい先日は、ふさふさした
コブシのつぼみを見かけました。

和菓子屋さんの店先は
もう少し早い足どりで、春を知らせます。

「藤房(ふじふさ)」と名づけられたきんとんは
こぼれるように咲く藤の花。
淡紫と萌黄色の色あわせが
藤のかさねの色目です。

仙台の北山近くには
藤の花で知られたお宅があり
花どきには庭が開放されます。
今年は、今年は、と思いつつ
見逃していた藤の名所。

意外にも、なじみがあるのは
東北道から眺める山藤のほう。
藤棚のそれとは雅やかさが異なるけれど
野趣のある姿もまた、いいのです。




【藤のかさね】
藤の花と葉を表す、薄色(淡紫)と萌黄色の2色によ
るかさねの色目です。旧暦の三月から四月(現在の
暦でいえば四月から五月)に身につけられた色。高貴
な配色は『源氏物語』にも登場します。藤にちなんだ
色目には、淡紫と濃紫をかさねる「白藤(しらふじ)」
や、淡紫と青による「藤重(ふじがさね)」もあります。

posted by mikk at 00:47| Comment(2) | 卯月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月31日

もえぎいろ − 萌黄色




萌えいづる黄緑


このたびの震災に際し
お気づかいありがとうございます。

まだ灯油がゆき渡らず
寒さの心配はありますが
ふと気づけば庭先には
緑の葉がひゅっと伸びていました。

季節は着実に、春に向かっています。

都市ガスの復旧待ちで
お休みの和菓子屋さんもありますが
いつもと変わらぬように迎えてくださる
和菓子屋さんもあります。

上生菓子も並んでいましたが
目をひいたのは麩焼きせんべい。
春の野に咲く「早蕨(さわらび)」です。

いつものように季節を感じられる和菓子に出会えること
いつものように暮らせること。
なんて恵まれているのだろうと感じます。

そして、あたり前のようにお店を開いている
静かな心意気も、東北らしいと思うのです。




【萌黄色】
芽吹いたばかりの、淡々とした黄緑。読みは同じ「も
えぎいろ」でも、萌黄色は黄みがかり、萌葱色は緑が
かった色のこと。『源氏物語』にも登場する伝統色で、
春の色といえば、まず浮かんでくるのがこの色です。
春を待ちわびる東北で、最も愛される色ともいえるで
しょう。萌黄色を眺めていると、心も浮き立ってきます。

posted by mikk at 23:22| Comment(4) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月28日

ゆきのした − 雪の下




雪の下の紅梅を表すかさね色


仙台でも、ぽつぽつと
紅梅のつぼみが見られるようになりました。

今朝は、また雪。
積もりはしませんでしたが
かなりの冷え込み。

水戸の偕楽園では
雪のふりかかった紅梅が見られたとか。
ちょうど今ごろの光景を表している配色が
「雪の下」です。

その色は、「お花の女びな」さまがまとっている
白と紅梅色をかさねた配色。

ちなみに、「お花の男びな」さまは
白と淡青(現代の呼び方でいえば淡い緑)による
「柳」のかさねの色目です。

毎年おひなさまをかたどったお菓子を
紹介していますが
そのお店ごとに、趣が異なります。

お菓子でできた
おひなさまに、ぼんぼり、菱餅、ひなあられなどを
ひな段に並べて、いくつも見比べられたら
どんなに楽しいでしょう。
いつか眺めてみたいものです。




【雪の下】
「雪の下紅梅」ともいう、白と紅梅をかさねた配色。
白と紅をかさねた配色とする説もあります。冬から
春にかけて用いられた色あい。平安時代からあっ
た配色なのかさだかではありませんが、室町時代
の『御伽草子(おとぎぞうし)』に文の色として登場
するため、その当時からあったと考えられています。

posted by mikk at 23:26| Comment(6) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月20日

あかむらさき − 赤紫




高貴な紫のひとつ


この時季にめずらしく
雨がふりしきる朝があったかと思えば、
その夜は、雪。
そして今日は、春のような陽射し。

春へ急いだり、冬に舞い戻ったり
空の気もそぞろのようです。

如月も半ばを過ぎると
木に春と書いてツバキと読む春の花
椿が並びはじめました。
このお菓子の銘は「つらつら」。

春のまどろみのなか
つらつら物思うという意味かと思ったら
花が連なっている様子を表わす
“つらつら椿”から名づけられたものでした。

そういえば、子どものころ
家の裏手に、椿の枝が垣根のように広がっていました。
しっとりした花びらはもちろん
つやつやした葉を
すーっと触れずにはいられませんでした。

葉を愛でる椿餅もよいものですが
春待ち顔の花のお菓子もまた
気分が暖かくなってきます。




【赤紫】
赤みがかった鮮やかな紫色。奈良時代や平安初期
には、朝廷に身につけていく正装の色のひとつでもあ
りました。最も高貴な色が、濃色(こきいろ)といわれ
た濃い紫色。それに次ぐ色だったといわれています。
紫の同系色には、深色(こきいろ=濃紫)、薄色(うす
いろ=薄紫)、滅紫(けしむらさき)など、多くあります。

posted by mikk at 16:24| Comment(2) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月31日

うめがさね − 梅重




紅梅の花たちのかさなり


雪見障子をあけると
庭には白雪。
清澄な眺めです。

ですが、この時季
古い民家の部屋という部屋は底冷えで
身動きするのもおっくうなほど。

家に冬ごもりというより
ひと部屋にこもってしまうほどです。
こもればこもるほど
なぜか寒さに弱くなっていくもの。

この生活から抜け出すにはと考えて
目から暖をとることにしました。

暖かい色みの花を
小ぶりなピッチャーに、ワイングラスに、漆の皿に
少しずつ飾って、棚の片隅に、鏡の前に。
目にふれるところに置くと
ひととき寒さを忘れます。

かつて、手あぶりくらいしかなかった時代は
今より、もっと寒かったはず。
身につけた紅梅の色みから
暖をとったのでしょうね。




【梅重】
濃い紅と、甘さのある紅梅色、2色をかさねた配色です。
紅梅の花のかさなりを表したとされています。別の説に、
白と紅梅色もあり、そちらは白梅を表した配色。どちら
の色みも、11〜2月までの冬に身につけられたもの。ち
なみに、このかさねの色めを構成するひと色「紅梅色
は、紅梅の花の色を表した、ほんのり淡い紅色です。


posted by mikk at 15:18| Comment(2) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月01日

ことほぎ




あけましておめでとうございます。
今年もゆっくりのんびり
仙台の和菓子に日本の色を見つけていきます。
かわいらしいお菓子を通して
季節の移ろいや
日本の文化を感じていければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
posted by mikk at 22:44| Comment(6) | 初春 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月31日

こおりがさね − 氷重



淡い黄茶と白のかさね


2010年しめくくりの日。
「和の菓 和の色」ブログで紹介するお菓子も
100個めになりました。

そのお菓子、「風花(かざはな)」です。
風花とは、冬晴れにちらつく雪のこと。
風に舞う花のように
吉祥文様らしい雪がかたどられています。

お干菓子の
淡い黄茶のほうは、和三盆の極上のもの。
白いほうは、さらしたもの。
ふたつの色の重なりが
この時季にふさわしいかさねの色目、氷重になります。

どちらのお干菓子も口にふくむと
すーっと跡形もなく溶けていきますが
あとをひくおいしさ。

「和の菓 和の色」も
そのような、ありようになれればと思っています。

遊びにお越しくださったみなさま
ありがとうございます。
コメントをくださった方々
いつもあたたかい眼差しをありがとうございます。

今年も残すところ、あとわずか。
どうぞ、よい年をお迎えください。




【氷重】
卵の殻の色である鳥ノ子色と、白色による、かさねの
色目。冬に身につけられる配色です。『狭衣物語』に、
雪が積もって凍りついた呉竹の枝に、氷重の色目の文
を結ばせたといった場面が出てきます。お干菓子の中
段の情景は、それを模したのかもしれません。「氷重」
と似た配色に、白と白をかさねる「氷」の色目もあります。

posted by mikk at 15:26| Comment(2) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月30日

くろとくさ − 黒木賊




黒みがかった灰緑と白のかさね


この色名を見ると
どうしても黒服の山賊が浮かんできます。
渋みがかった色あいに品があり
山賊といっても頭領の風格
といったイメージがありました。

ですが、この色に類する木賊色は
武家に好まれた色あいでもあるそう。

山賊と武士で
当たらずとも遠からず。
粋で渋みのある色あいが
武家好みだったのでしょう。

お菓子にぽんと押されているのは
松をかたどったもの。
ふりかかった雪の下から松がのぞく情景を表した
「松の雪」と名づけられたお菓子です。

いよいよ年末ともなると
新しい年をにおわせる松が
お菓子にあしらわれるようになってきました。




【黒木賊】
濃い緑と白のかさねの色目。四季を通して身につけら
れた配色です。似た色目に、木賊があります。そちら
は、この色目より明るい、萌黄と白のかさね。木賊と
はシダ植物のトクサのことで、木賊のかさねの色目は、
その茎の色を模した色あいです。ちなみに、この黒木
賊の色目は、祝いの席では避けられた配色のようです。


posted by mikk at 22:12| Comment(0) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月23日

くれないのうすよう − 紅の薄様




白、桜、葡萄染めのかさね


Merry Christmas!
白あんのろうそくが灯る
和菓子の「ケーキ」です。

もしかしたら、
大きなものを想像されるかもしれませんが
小さくてかわいらしい、直径5センチほど。

この色あいは、並び順は異なりますが
かつて女官がまとった衣のかさねの色目
紅の薄様になります。

きりっと引きしめているのが、葡萄染めの色。
ぶどう染めではなく、えび染めと読む
黒みがかった赤紫色です。
このケーキの葡萄染めにあたるところ
なんの味だろうと思ったら、あずきでした。

クリスマスにちなんだ、和菓子もいろいろ
やっぱり今年も和菓子になりそうです。

はちみつ色の蜜ろうキャンドルを灯して
最後は和菓子でしめくくり。
そこだけは決まっているのですが
さて、かんじんの食事は、なに作ろう……。




【紅の薄様】
葡萄染めから、桜、紅、淡紅、さらに淡い淡紅、白、
白、白の配色。上から下へ薄くぼかしていく、紅の色
あわせは、季節を通して身につけられました。『源氏
物語』では、浮舟が匂宮に送った文の紙色としても
登場します。薄様とは、淡い色あわせ。紅の薄様の
ほか、「皐月」の項で紹介した紫の薄様もあります。

posted by mikk at 16:20| Comment(2) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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