2012年05月31日

しょうぶがさね − 菖蒲重

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菖蒲の葉と花穂を思わす、緑と黄のかさね色


まったく異質に見えるのに、
どこか似ているような……。
直感は、意外にあたっているようです。

このお菓子「尾瀬の春」に添えられた水芭蕉と、
そこに見つけた菖蒲のかさね色のことです。

菖蒲といえば、するりと伸びた剣のような緑葉。
尚武や勝負に通じるため
男子の成長を祝う端午の節句は、菖蒲の節句と言われるほど
たけだけしいものの象徴です。

水芭蕉は、花穂を包む大きな葉が白い花に見える
優雅なたたずまい。

色も、形も、雰囲気も、まったく違うのに
このふたつは同じ、サトイモ科。
粋な菖蒲と、雅な水芭蕉が
無骨に思えるサトイモ科とは
ちょっと意外な気もします。

もしかしたら、人の世も同じかもしれません。
なんとはなしに、ほっとした感覚をおぼえる人。
縁をたどっていけば、気づかされる、意外なつながり。
直感は、齢を重ねた経験のなせる業。
ますます冴えてくるかもしれません。




【菖蒲重】
菖蒲にちなみ、花穂をあらわす菜種色(黄色)と、葉
をあらわす萌黄色(緑)による配色です。お菓子でい
えば、きんとんの2色にあたります。かさねの色目と
いっても菖蒲重は、重ね着で見せるのではなく、布の
表地と裏地であわらす配色。『源氏物語』に「菖蒲襲
のあこめ」として登場する、いにしえの色あわせです。















posted by mikk at 22:15| Comment(0) | 皐月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月30日

あさぎいろ、なのはないろ − 浅葱色、菜の花色

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青みがかった葱の色、まばゆい菜の花色


桜のたよりを聞いたかと思えば
ぐっとあたたかくなって
新芽がひゅんひゅん伸びてきた
このところの仙台です。

そんな陽気が続くと
涼やかな、さらりとした色や素材のものに
つい目がとまります。

いい色だなあと思うと浅葱色
ということが、よくあります。
多くは装うものが多いけれど
たまに和菓子にも見つけることがあって
そのひとつが、この「蝶」のお菓子。

ぽつん、ぽつん、とあしらわれた
いちばん上が、浅葱色。
その下が、菜の花色。
野原を、水辺を、舞い飛ぶ紋白蝶を思わせます。

透明感のあるお菓子は、琥珀糖と呼ばれ
シャリッとした砂糖の薄衣の中から
きらりとした寒天があらわれ、さながら宝石のよう。

萌え立つ春、きらきらとした陽射しを感じながら
いただきたくなるお菓子です。




【浅葱色、菜の花色】
春らしい菜の花色は、鮮やかな緑みの黄。初夏を感じ
させる浅葱色は、鮮やかな緑みの青。このお菓子では、
蝶の羽にあしらわれた色になります。浅葱色は藍で染
めた淡い青色で、『源氏物語』や『枕草子』にも登場し
ます。さわやかな色みなのに、江戸時代には不粋な色
とされていました。色に歴史あり、と言いたくなる色です。








posted by mikk at 23:13| Comment(0) | 卯月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月31日

さくらいろ − 桜色

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ほんのり清楚な淡紅


やっぱり春はうれしくて
寒さがやわらいだ日には
ついつい出かけたくなってきます。

重いコートや濃い色をはずし
なにを着ようかと迷いながらも
ちょっとうきうき。

庭先のあたたかい陽射しを見ては
てくてく歩こうか
自転車で風を感じようかと
気分がはずんできます。

そんなときに出会った、春色の「お花見団子」。
桜色、萌黄色、菜の花色、
のせられた餡の色は、桜鼠。
ふわっととけていきそうな淡い色たち。

晴れわたった空を見上げながら
いただきたくなります。
なんでもない小さなことが、うれしい春。

まだまだそれどころではない方の心にも
ひらり、そっと、桜色が届きますように。




【桜色】
白にちかい淡紅。このお菓子では、いちばん手前の団子
の色になります。淡い色をかさねた襲(かさね)の色目も、
桜にちなんだ襲の色目も数々ありますが、等しい色あい
が見つからず、桜色での紹介になりました。ちなみに桜
の花色は、品種によって色あいが異なります。このお菓
子は、白みがかった山桜の色あいにちかい気がします。








posted by mikk at 22:11| Comment(0) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月29日

もものかさね − 桃のかさね

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淡紅と萌葱の二色がさね


ころんとした姿が愛らしく
むくむくとあたたかそうなお菓子「初音」。

春の訪れを知らせるうぐいすの音を
初めて聞くことにちなんだものです。

春告鳥とも言われるうぐいすの声を
そろそろ聞きたいところだけれど
聞こえてくるのは、雪の知らせばかり。

今日も、ちらつく雪を窓から眺めては
屋内の桃の花に目を移して
色から暖をとっていました。

このところ冬ごもりで、
自分でも気がつくくらい、ころんとした顔に。

ちょっと自制しなければと思いつつ
桃の節句に向けて
ほんのり甘い花餅をつくろうかと思っていたりもして……。

花やおたふくなどをかたどった
素焼きの焼きもので形づくる花餅は
いただくのも楽しみ。

自制の日々は、またちょっと先延ばしになりそうです。




【桃のかさね】
桃をあらわすかさねの色目には、二色のものと、三色
のものがあります。今回紹介するのは、二色のほう。
桃の花をあらわす「淡紅」と、新芽をあらわす「萌黄」
による配色です。ちなみに三色のほうは、雪をあらわ
す「白」をはさみます。三色の組み合わせは、ひし餅
の配色を想像すると、わかりやすいかもしれません。








posted by mikk at 23:14| Comment(0) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月31日

ぎんねず − 銀鼠

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白銀のような明るい鼠色


大寒を過ぎても、凍える寒さ。
そろり、そろりと歩く日の多い仙台です。

それでも、和菓子屋さんには
水仙、紅梅、椿といったお菓子が並び、花ざかり。
その中で、すっと引き寄せられたのが
このお菓子です。

家紋のように見えるけれど
干支にちなんだものだそう。

今年は、たつ年。

それでも思い浮かばず
菓銘を聞いて、納得しました。
「宝玉龍の爪」。
宝玉をつかんだ龍の爪を表したものです。

日本画が浮かんでくる、この意匠、この色あい。
こんなに渋いお菓子に出会えるとは
うれしくなります。

いかにも英気を養えそうなお菓子は
龍神さまのご加護もありそう。

そう思いつつ口にふくむと
ほんのりゴマの香りとともに
お干菓子がほどけていきました。




【銀鼠】
かすかに青みをふくむ、白みがかった灰色。江戸時代か
らよく使われる、粋な色です。四十八茶百鼠(しじゅうは
っちゃ ひゃくねず)といわれるほど種類の多い鼠のつく
色には、抹茶にちなんだらしい緑みの利休鼠、江戸にち
なんだ青みの深川鼠、赤みがかった桜鼠に、牡丹鼠な
ど。色名を眺めているだけで、想像がふくらんできます。








posted by mikk at 23:51| Comment(0) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月01日

ことほぎ

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初春

今年もゆっくりのんびり
仙台の和菓子に、日本の色を見つけていきます。

2012年はじまりのあいさつに選んだお菓子は
伊達政宗を祀る青葉神社の御紋菓です。
伊達家でもっとも古くから用いられた家紋
「三つ引き紋」をかたどったもの。

淡紅と白に、幸多き年となるよう願いをこめつつ
新たな年をはじめてまいります。







posted by mikk at 23:54| Comment(0) | 初春 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

くず − 葛

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葛の茎や葉をあらわすかさね色


光のページェントの明かりがともる仙台で
お菓子の「樅の木」もきらきら。

「メリークリスマス!」
と言っているかのようです。

つい先日、あたたかな琥珀色に照らされた
定禅寺通のケヤキ並木のもとを歩いてきました。

ところどころに白い明かりが混ざっているのは
それが全国から応援で寄せられた
イルミネーションだから。

今年もこうしてクリスマスを迎えられることを
本当にありがたいなと思います。

この時季は、ケヤキの枝に
ちょっと負担をかけてしまうけれど
また春には、緑の葉をのばしてくれることでしょう。

青葉のころも、また良くて。
仙台っていいな、と思うのです。




【葛】
青と淡青による、かさねの色目。青は現代の緑にあた
るため、緑と淡緑による配色で、葛の茎や葉をあらわ
したものです。このお菓子でいえば、芯の緑と、ふちど
られた淡緑の部分。葛といえば、秋に花を咲かせる七
草のひとつですが、かさねの色目にあらわされている
のは葉のほう。四季を通して身につけられる配色です。








posted by mikk at 17:58| Comment(2) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月30日

はじもみじ − 櫨紅葉

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ハゼの紅葉を表わす黄と蘇芳のかさね色



とある店先に
水連鉢に泳ぐ金魚とともに
はらりと浮かんでいた紅い一葉。

風が運んできたいたずらを
そのままにしているのだそう。
そんな風情も、秋だけのもの。

初紅葉、紅葉、青紅葉、黄紅葉、紅紅葉、
櫨紅葉、黄櫨紅葉、楓紅葉、もじり紅葉、散紅葉……。

これらはすべて、かさねの色目。
こんなにも、日本の人は
紅葉を見つめてきたのですね。

自然にある緑色の多さはよく言われることだけれど、
紅の多さも、そうとうなもの。
だから錦繍と呼ばれるのでしょうが。

そんな染まりきらぬ11月の色。
ちょっと紹介が遅くなった
お菓子「木枯らし」です。




【櫨紅葉】
黒みがかった蘇芳(黒みの赤)と黄による、かさねの
色目。うるし科の櫨の葉が紅く染まった様子を表わし
たもの。同じ「櫨紅葉」にも、黄・淡朽葉・紅・蘇芳な
ど6色をかさねる色目もあります。櫨にちなむ色目に
は、朽葉と黄をかさねる「櫨」、黄・丹・朱など7色を
かさねる「黄櫨紅葉」など。身近な木だったようです。









posted by mikk at 23:56| Comment(0) | 霜月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月31日

あかくちば − 赤朽葉

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赤みをおびた落葉を表すかさね色


そろそろ冬支度と思っていたら
また寒さがほどけ
木の葉も、染まろうか、染まるまいか
とまどっているかもしれません。

そんな色づきかけた落葉を
「吹き寄せ」の干菓子のなかに見つけました。

自然のほうはまだ少し、もみじ狩りには早いかも
と思いつつ出かけた宮城県南部の角田。

そこで、かやぶき屋根の葺き替えを
見ることができました。
江戸時代後期の農家を移築したという
国の重要文化財、旧佐藤家住宅です。

職人さんが手を動かしているのに見とれていたけれど
ふと気づくと裏手には
光を発しているかのような、見事に染まった黄葉。
仏像の光背を思わせる光景は
一幅の絵のようでもありました。




【赤朽葉】
お菓子でいえば、手前のひと葉。経紅緯洗黄と黄によ
る、かさねの色目です。経紅緯洗黄(たてくれない よこ
あらいき)とは、見た目には淡い朱色のこと。実際には、
経糸(たていと)を紅色、緯糸(よこいと)を洗黄(洗った
ような黄)で織った色のことです。朽葉を表すかさねの
色目には「青朽葉」「黄朽葉」「朽葉」があり、いずれも秋
色ですが、赤朽葉は晩秋前に身につけられたようです。








posted by mikk at 13:49| Comment(2) | 神無月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月30日

しおんいろ − 紫苑色

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秋に咲く紫苑の花の淡紫色


しおん、紫苑。
その響きも、文字のたたずまいも
優美でしっとりとした女性が浮かびます。

まだ「和の菓 和の色」が形をなしていないころ
和菓子に日本の色を見つけたいと考えていたときから
ずっと紹介したいと思っていた色です。

紫苑は、秋の花。
この時季、淡い青紫の花をつけます。
そう、このお菓子「野菊」のように。

野菊はある特定の花の名ではなく、
野生の菊のこと。

平安時代のはじめには
中国から渡来していたという紫苑も
野菊のひとつです。

このお菓子の姿、形、色あいは
きっと紫苑を意識したもの。

「野菊も咲くまでは、ただの草」といわれ
咲いてはじめて、気づかれます。
その有りようも、惹かれるところです。




【紫苑色】
菊科の紫苑の花色をあらわす、淡く明るい青紫で
す。平安時代から好まれ、庭に多く植えられた花。
その色あいも愛され、『源氏物語』や『枕草子』にも
装いの色として出てきます。ひと色であわらす「紫
苑色」もあれば、紫と蘇芳(紫がかった黒みの赤)
の二色によるかさねの色目の「紫苑」もあります。









posted by mikk at 13:28| Comment(0) | 長月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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