2013年12月31日

くろとくさ − 黒木賊

shigure.JPG


黒みがかった深緑と白のかさね色


賊という字のせいか
黒木賊の色目から、どうしても山賊や盗賊が
浮かんできてしまいます。

色みの渋さとあいまって
賊軍の首領といった印象です。

木賊色を黒みがからせた深緑と
白をかさねた配色が、黒木賊になります。

木賊色といえば
武士に好まれた色みであったことから
想像していた荒々しいたたずまいは
当たらずとも遠からずといえるかもしれません。

武士のなかでも白髪まじりの年配者が
身につけた色みらしく
木賊と白の相性の良さは
南北朝時代のころから意識されていたようです。

ちなみに植物の木賊は、まっすぐに伸び
鋭さをもちあわせた草です。
ものを磨く草であったことから、砥草とも言われました。

このお菓子「時雨(しぐれ)」に走る
端正な線にも、どこか通じている気がします。




【黒木賊】
黒みの青と白による配色。かつては緑のことを「青」
と表現したため、実際には深緑と白の配色になります。
ちなみに「木賊」のかさねの色目は、萌黄と白の配色
で、植物の木賊の茎をあらわしています。木賊の衣は、
鎌倉時代や南北朝時代の軍記物に登場しています。黒
木賊は、祝いの席には避けられた色目とされています。










posted by mikk at 16:19| Comment(2) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月31日

しろ − 白

yukimoti.JPG

古来より清浄でけがれのない色


大晦日の夜。
きれいにたたまれた
真新しい下着が枕元に置かれていました。

年があらたまったら
新たな気持ちではじめるように
との思いからだったのでしょう。

子どものころは、その白い下着を見ながら
一年の締めくくりと
迎える新年に思いをはせ
特別な気分になっていたことを思い出します。

いつのころからか、それは途絶え
大晦日も新年も
日常に近づきつつあります。

まだ今も師走のただ中で気は急いていますが
松と千両を和紙でくるりと巻いて
赤い水引で結んで飾ったら
少しあらたまった空気が流れはじめました。

心の内からも静まりたいと
今日いただいたお菓子は「雪餅」という名のきんとん。
静かにしずかに落ち着いてと
自らに語りかけながらいただいて、少し深呼吸。

今年もあと7時間ほど。
どうぞよい年をお迎えください。




【白】
白といっても完全な白は存在せず、わずかに黄み
や青みをふくんでいます。古来と現代の白の捉え
方にはかなり開きがあり、今よりもっと広範囲な明
るい色をさしていたと考えられています。科学的な
白さより、雪ざらしされた楮(こうぞ)や布のような
あたたかみのある白を好ましく感じるこのごろです。










posted by mikk at 16:52| Comment(4) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月24日

ときわみどり − 常磐緑

hiiragi.JPG


ずっと変わらぬ常緑の葉色


みぞれまじりの雪が降り
仙台はうっすら雪景色のクリスマスになりました。

光のページェントは
3連休のせいか
七夕まつりを思わせるほどの混みよう。

図書館に急ぎながらも
到着したのは、残念ながら閉館時間の数分後。
予約しておいた本は借りられなかったけれど
周りはクリスマスのただなか。

くるりと気分をかえて
しばらくごぶさたしていたお店をのぞき
いつもとは違う時間の過ごし方に。
そして、いつものクリスマスと同じ買い出し。

お菓子だけは事前に用意しておいた
「柊」のお干菓子です。

ずっと緑をたたえる葉をかたどった
その色は、常磐緑。

いつも同じ緑であることをたたえる色名です。




【常磐緑】
松など常緑樹の葉色をあらわす、黄みをお
びた深緑色です。常緑を表す色に常磐色、
千歳緑、老緑もあります。それらは常磐緑
と同色とする説、別色とする説、どちらもあ
ります。常磐緑と似た色に松葉色がありま
すが、こちらはくすんだ深緑色になります。








posted by mikk at 14:41| Comment(0) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

くず − 葛

mominoki.JPG


葛の茎や葉をあらわすかさね色


光のページェントの明かりがともる仙台で
お菓子の「樅の木」もきらきら。

「メリークリスマス!」
と言っているかのようです。

つい先日、あたたかな琥珀色に照らされた
定禅寺通のケヤキ並木のもとを歩いてきました。

ところどころに白い明かりが混ざっているのは
それが全国から応援で寄せられた
イルミネーションだから。

今年もこうしてクリスマスを迎えられることを
本当にありがたいなと思います。

この時季は、ケヤキの枝に
ちょっと負担をかけてしまうけれど
また春には、緑の葉をのばしてくれることでしょう。

青葉のころも、また良くて。
仙台っていいな、と思うのです。




【葛】
青と淡青による、かさねの色目。青は現代の緑にあた
るため、緑と淡緑による配色で、葛の茎や葉をあらわ
したものです。このお菓子でいえば、芯の緑と、ふちど
られた淡緑の部分。葛といえば、秋に花を咲かせる七
草のひとつですが、かさねの色目にあらわされている
のは葉のほう。四季を通して身につけられる配色です。








posted by mikk at 17:58| Comment(2) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月31日

こおりがさね − 氷重



淡い黄茶と白のかさね


2010年しめくくりの日。
「和の菓 和の色」ブログで紹介するお菓子も
100個めになりました。

そのお菓子、「風花(かざはな)」です。
風花とは、冬晴れにちらつく雪のこと。
風に舞う花のように
吉祥文様らしい雪がかたどられています。

お干菓子の
淡い黄茶のほうは、和三盆の極上のもの。
白いほうは、さらしたもの。
ふたつの色の重なりが
この時季にふさわしいかさねの色目、氷重になります。

どちらのお干菓子も口にふくむと
すーっと跡形もなく溶けていきますが
あとをひくおいしさ。

「和の菓 和の色」も
そのような、ありようになれればと思っています。

遊びにお越しくださったみなさま
ありがとうございます。
コメントをくださった方々
いつもあたたかい眼差しをありがとうございます。

今年も残すところ、あとわずか。
どうぞ、よい年をお迎えください。




【氷重】
卵の殻の色である鳥ノ子色と、白色による、かさねの
色目。冬に身につけられる配色です。『狭衣物語』に、
雪が積もって凍りついた呉竹の枝に、氷重の色目の文
を結ばせたといった場面が出てきます。お干菓子の中
段の情景は、それを模したのかもしれません。「氷重」
と似た配色に、白と白をかさねる「氷」の色目もあります。

posted by mikk at 15:26| Comment(2) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月30日

くろとくさ − 黒木賊




黒みがかった灰緑と白のかさね


この色名を見ると
どうしても黒服の山賊が浮かんできます。
渋みがかった色あいに品があり
山賊といっても頭領の風格
といったイメージがありました。

ですが、この色に類する木賊色は
武家に好まれた色あいでもあるそう。

山賊と武士で
当たらずとも遠からず。
粋で渋みのある色あいが
武家好みだったのでしょう。

お菓子にぽんと押されているのは
松をかたどったもの。
ふりかかった雪の下から松がのぞく情景を表した
「松の雪」と名づけられたお菓子です。

いよいよ年末ともなると
新しい年をにおわせる松が
お菓子にあしらわれるようになってきました。




【黒木賊】
濃い緑と白のかさねの色目。四季を通して身につけら
れた配色です。似た色目に、木賊があります。そちら
は、この色目より明るい、萌黄と白のかさね。木賊と
はシダ植物のトクサのことで、木賊のかさねの色目は、
その茎の色を模した色あいです。ちなみに、この黒木
賊の色目は、祝いの席では避けられた配色のようです。


posted by mikk at 22:12| Comment(0) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月23日

くれないのうすよう − 紅の薄様




白、桜、葡萄染めのかさね


Merry Christmas!
白あんのろうそくが灯る
和菓子の「ケーキ」です。

もしかしたら、
大きなものを想像されるかもしれませんが
小さくてかわいらしい、直径5センチほど。

この色あいは、並び順は異なりますが
かつて女官がまとった衣のかさねの色目
紅の薄様になります。

きりっと引きしめているのが、葡萄染めの色。
ぶどう染めではなく、えび染めと読む
黒みがかった赤紫色です。
このケーキの葡萄染めにあたるところ
なんの味だろうと思ったら、あずきでした。

クリスマスにちなんだ、和菓子もいろいろ
やっぱり今年も和菓子になりそうです。

はちみつ色の蜜ろうキャンドルを灯して
最後は和菓子でしめくくり。
そこだけは決まっているのですが
さて、かんじんの食事は、なに作ろう……。




【紅の薄様】
葡萄染めから、桜、紅、淡紅、さらに淡い淡紅、白、
白、白の配色。上から下へ薄くぼかしていく、紅の色
あわせは、季節を通して身につけられました。『源氏
物語』では、浮舟が匂宮に送った文の紙色としても
登場します。薄様とは、淡い色あわせ。紅の薄様の
ほか、「皐月」の項で紹介した紫の薄様もあります。

posted by mikk at 16:20| Comment(2) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月25日

はいみどり − 灰緑




渋くくすんだ灰みの緑


サンタにツリー、トナカイ、ポインセチア……。
和菓子にもクリスマスにちなんだものが
多くあります。
いつもより鮮やかな色あいが多い中で
なんとなく惹かれたのが、この「ひいらぎ」。
ちょっと渋みのある色です。

ひいらぎといえば浮かぶのが
クリスマスケーキの飾り。
子どものころ食べたことのある
バタークリームのケーキにも
それはありました。

先日、知り合いの方のホームパーティに
バタークリームのケーキを
持ってこられた方がいらっしゃいました。
色みはたしかにバタークリームなのだけれど
スポンジはふんわり、バタークリームもまろやか。
とてもおいしくいただきました。

このクリスマスにもケーキをと思いましたが
洋食の後には、あっさり和菓子にすることにしました。
プレゼントでいただいた
少し大きめの拭き漆の菓子きりで
いただくことにします。




【灰緑色】
灰色がかった渋い緑。この葉を縁取っている、深い色
の部分にあたります。侘び寂びの世界に通じる、上品
な色あい。鎌倉時代からある濃い渋めの木賊(とくさ)
色をかなり薄めにした色が、灰緑ともいわれています。
灰緑そのものは、明治に生まれた比較的新しい色です。

posted by mikk at 16:54| Comment(8) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月27日

しっこく − 漆黒




黒漆のような輝き


青春、朱夏、白秋、玄冬とめぐり
もう年の瀬。
「和の菓 和の色」の
二〇〇八年のしめくくりは
玄(げん)があらわす黒色にちなみ
「黒光(こっこう)」になります。

仙台には黒胡麻をつかったお菓子が多く
和菓子屋さんでは
深い黒みのお菓子をよく見かけます。
あるものは、お餅にうっすら胡麻餡であったり
あるものは、胡麻餡がやや厚めであったり。

なかでも、このお菓子は小ぶりですが
金箔をあしらったもの。
うすい層のような餡のしたから
ひと粒の栗と黄身餡が表れると
金色の輝きを見るような心地になります。

少しあらたまった気持ちにさせてくれるお菓子。
この一年をふりかえりつつ、さまざまな出会いに感謝しつつ
いただきたいお菓子です。

コメントやあしあとを残してくださった方々
ご覧いただいた方々、ありがとうございます。
少し早いですが、よい年をお迎えください。




【漆黒】
純黒。黒漆を塗ったような、光沢のある色になります。
「黒」の色名は飛鳥時代からとする説がありますが、
「漆黒」のほうは明治からとする説も。黒色のひとつ
に「玄」がありますが、こちらはやや赤みをおびた黒。
黒系統にも青み、茶みと、さまざまな表情があります。


posted by mikk at 07:33| Comment(16) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月24日

すおう − 蘇芳




生命もゆる紫みの暗赤色


急に冷えこんだので
ホワイトクリスマスかも、と思っていたら
少し寒さがやわらぎ
仙台は、おだやかなイブとなりました。

そうなると、白いクリスマスに出合いたいもの。
白雪のようにも見える「しもばしら」です。
そこに、ちょっと添えられた葉の色が、蘇芳になります。

そういえば、この冬
はじめて赤い葉がのぞきました。
数年前のクリスマスにいただいたポインセチアに
水をあげ続けていたら
手のひらに収まるくらいだったのが
ひょろりと伸びて1メートルほどに。
いつもは緑のままなのに、
今年は、ぽっ、ぽっと、赤い葉が……。

夏に、さらに大きな鉢に植え替えたせいなのか
陽をたっぷりとあてたせいなのか、よくわかりませんが。

色を忘れずにのぞかせた葉が
ちょうど、このお菓子の葉のよう。
ふと目にふれる赤もうれしくて
なんとなく気分もあたたかくなるのです。




【蘇芳色】
くすんだ紫がかった赤。赤系統のなかで、もっとも
紫寄りの深い赤とされています。平安時代では紫に
次ぐ高位の色。清少納言も好んだ色で、古代の人
は生命を表す血の色に似ていると考えたようです。
襲の色目には、蘇芳と黄をかさねた蘇芳香(すおう
のこう)があり、四季を通じて身につけられました。

posted by mikk at 15:32| Comment(8) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月11日

しろ − 白




雪のような白い色


街のクリスマスイルミネーションは
ひと月も前から始まっていましたが
師走に入って和菓子にもお目見えしました。
「クリスマス和三盆」です。

ひいらぎの葉の緑に、雪だるまの白。
白は無彩色で、色みがないと思われがちですが
白には、白の色があります。
数字のゼロが無ではなく“ゼロがある”のと同じように。

かつて、養老衣服令では
帝の色にも定められていました。
それは、練って真珠のように光沢のある絹の色だったとか。
黄みを帯びた臣下の白とは、異なっていたようです。

生絹も、和紙も、ほの温かい色み。
ものに完全な白はないといい、
その時代によっても
白のとらえ方に違いがあるといいます。
いまよりも昔は、もっと白に幅があったそう。
どのくらい白に揺れ幅があったのか
それも気になるところです。




【白色】
純白のような色。似た色に、胡粉色(ごふんいろ)や
卯花色(うのはないろ)があります。胡粉は、牡蠣の
殻からつくった白色の顔料で、その色は黄みの白。
皐月の項でも紹介した卯花色は、青みのある白に
なります。降り積もった雪のことを白銀ともいいます
が、白銀色(しろがねいろ)は銀色と同じ色みです。

posted by mikk at 00:21| Comment(16) | 師走 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このページの上へ▲
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。