2013年10月31日

きつるばみ − 黄橡

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どんぐりで染めた、赤みがかった黄色


花の好みがあれば
庭の好みもあります。

長野県の松本に
私財を投じて松本民芸館を建てた丸山太郎さんは
自宅を改装する際に
自然のままの楢や樫の木を
植えたといいます。

そういえば、仙台でも
自然のままの庭を見た覚えがあります。

東北大学の総長を務められた加藤陸奥雄先生のご自宅。
先生が亡くなられた後のことですが
蒐集されていた郷土玩具のことについて
ご家族にお話をうかがいに訪ねました。

その際に、窓から見える庭が
住宅地とは思えぬ光景で
しばらく眺めていた思い出があります。

あの庭に、楢や樫の木があったのか
覚えていないのですが
まるい楢のどんぐりや、長い樫のどんぐりが
見つけられそうな庭でした。




【黄橡】
「つるばみ」とは、橡(くぬぎ)のこと。その実は、直径
数センチと、どんぐりの中でも大きなもの。橡の実で
染めたくすんだ赤みの黄色が、黄橡です。奈良時代
に位階によって定められた衣服の色では、第七位に
あたります。色あせしにくく、僧衣にも使われました。
このお菓子「蔦もみじ」でいえば、豆の色になります。











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2012年10月31日

かきいろ − 柿色

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柿の実の朱がかった紅色


いまよりまだまだ経験が浅いころには
ある程度の年かさになれば
さほど迷うことなく判断して
確信めいた考えのもと歩んでいけるのだろうと
かなり楽天的に考えていました。

そういう人も、いるでしょう。
はた目から、そう見える人もいるでしょう。

少なからず自分はその境地には達しておらず
これから先も達することはないだろうと
逆の意味で確信しています。

しっかりと自分の道を拓いているように見える人も
内面はやわらかで揺らぎながらも
一生懸命に立っているのだと感じるようになりました。

だからでしょうか、このお菓子
「道標(みちしるべ)」を見たとき
羅針盤に見えてしまいました。

お店の方から
ただ柿の枝を模したものとうかがって
ちょっと考えすぎてしまったかな、と。
ものおもう秋ですから。




【柿色】
柿の実のような黄赤色。奈良時代に中国から伝わった
柿は、色名も古くからあり、平安からとする説、室町から
とする説、があります。柿の実が熟した赤みのある黄色
を照柿(てりがき)、柿色より赤みの少ないものを近衛柿
(このえがき)といい、柿にちなむ色名もさまざまです。









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2011年10月31日

あかくちば − 赤朽葉

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赤みをおびた落葉を表すかさね色


そろそろ冬支度と思っていたら
また寒さがほどけ
木の葉も、染まろうか、染まるまいか
とまどっているかもしれません。

そんな色づきかけた落葉を
「吹き寄せ」の干菓子のなかに見つけました。

自然のほうはまだ少し、もみじ狩りには早いかも
と思いつつ出かけた宮城県南部の角田。

そこで、かやぶき屋根の葺き替えを
見ることができました。
江戸時代後期の農家を移築したという
国の重要文化財、旧佐藤家住宅です。

職人さんが手を動かしているのに見とれていたけれど
ふと気づくと裏手には
光を発しているかのような、見事に染まった黄葉。
仏像の光背を思わせる光景は
一幅の絵のようでもありました。




【赤朽葉】
お菓子でいえば、手前のひと葉。経紅緯洗黄と黄によ
る、かさねの色目です。経紅緯洗黄(たてくれない よこ
あらいき)とは、見た目には淡い朱色のこと。実際には、
経糸(たていと)を紅色、緯糸(よこいと)を洗黄(洗った
ような黄)で織った色のことです。朽葉を表すかさねの
色目には「青朽葉」「黄朽葉」「朽葉」があり、いずれも秋
色ですが、赤朽葉は晩秋前に身につけられたようです。








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2010年10月31日

あおもみじ − 青紅葉




色づきかけた葉のかさね色


夕紅葉、むら紅葉、下紅葉……
紅葉にまつわる季語はたくさんありますが
かさねの色目も、それに劣らず
初紅葉、青紅葉、黄紅葉、楓紅葉、
紅葉、櫨紅葉など、さまざま。
その字を眺めているだけで
移りゆく季節を感じられます。

「野路」と名づけられたこのお菓子、
柿をかたどっていますが
その色は照り映えるとまではいかず
まだ、おだやかな色。

かさねの色目でいえば、青紅葉です。
仙台ではちょうど今ごろの
色づきはじめた木の葉のようです。

寒暖の差が大きいほど
木の葉は赤みを増し
くだものは甘みを増します。

猛暑から秋へと急加速した今年は
木の葉の色も、くだものの味わいも
より深まるかもしれません。
人としても、円熟みが増す
となるとよいのですが。




【青紅葉】
青と朽葉のかさね色。まだ色づいていない青葉と、色
づきはじめた木の葉、2色のかさねの色目です。平安
時代には紙の色として、鎌倉から室町時代の文献に
は狩衣の色に用いられたと記されています。ちなみに、
似た言葉に青楓がありますが、こちらは初夏の季語。
青紅葉は季語にはなく、秋にまとう色目になります。

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2009年10月31日

にっけいいろ − 肉桂色




芳しいニッキの赤茶色


小京都は、全国にありますが
先日訪ねたのは、秋田の角館。
仙台から向かう列車の車窓から
照りはえる紅葉が見えました。

山々の、緑葉、黄葉とあるなかに
真紅に染まった葉が、ひと群れ、またひと群れ。
それを見つけていくのが楽しくて
うつらうつらしていた眼も、すっきり。
旅気分を味わえました。

その時は、紅葉狩りとはいきませんでしたが
お菓子なら、こうしてゆっくり「もみじ」を味わえます。

いつもなら、黄葉、紅葉とかわりゆく
練りきりのお菓子をいただくところですが
今回は、葉の縁が繊細に表された
艶干し錦玉(つやぼしきんぎょく)にしました。

肉桂色のもみじをいくつも並べては
秋を楽しみ、ひとつ、ふたつと、口のなかへ。

しゃりしゃりとした甘さがとけていき
少し冷えてかたまりつつあった心と体を
ふぅーっと解き放ってくれました。




【肉桂色】
おだやかな赤茶色。シナモンに似たニッキ(肉桂)
を乾燥させた樹皮の色です。シナモンスティック
より、明るめの色をイメージするとよいかもしれ
ません。ニッキといえば、駄菓子のニッキ玉もあ
りますが、京都の生八つ橋にも使われています。

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2008年10月31日

うすこういろ − 薄香色




香木で染めた生成り色


季節にも、色があります。
青春、朱夏、白秋、玄冬というように。
その白い秋にふさわしいお菓子「光琳菊」です。

尾形光琳風の大らかな描き方で
情緒をあらわしたもの。
おなじ銘をもつお菓子は多くありますが
めずらしかったのが、このどっしりとした形です。

たぶん琳派の先駆けであった
本阿弥光悦が手がけた丸みのあるすずり箱に
ちなんだものでしょう。

じつは、このお菓子には
もうひとつ目を引くものがありました。
薄香色の下、こし餡にとどくまで
うっすらと淡紅がかっていました。
もしかして、「香」のかさねの色目かも……。

あれこれと考えをめぐらせば
ひとつのお菓子にも、秘かにこめられた思いが多いもの。
これまで、どれほど見過ごしてきたことでしょう。
奥ゆかしい色あいが
かえって気づかせてくれました。




【薄香色】
ほんのり上品な生成り色。丁子(ちょうじ)で染めた
「香色」の薄いものです。丁子はカレーなどにも使う
香辛料のクローブのこと。その丁子で染めた布が香
りをたたえていたことから、香色の呼び名がついたの
だそう。『源氏物語』にも、丁子染めとして登場します。


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2008年10月30日

そがいろ − 承和色




承和の帝に愛された黄菊の色


大輪の菊の幾重にもかさなる花びらを、優美に感じ
可憐に開いた小菊を、かわいらしいとも思います。

菊に種類があるのを知ってはいても、
お供えというイメージがあるからでしょう。
花を贈るときも、部屋に飾るときも
どうしても避けてしまいがちです。

それが、いまから1100年以上も前に
帝であった仁明天皇は
菊をとても好まれたといいます。
不老長寿の象徴とされた花。
その花を植えて宮中を彩りました。

なかでも帝が好んだのが、黄色い菊でした。
その色は衣装にも用いられ
承和色と呼ばれるようになります。
匂いたつように艶やかな黄色は
先日、秋田路で見た黄葉の色と重なりました。

お菓子の「秋のもみじ」も、色づきはじめたころ。
これから山々が紅がかっていくのにあわせ
お菓子の赤みも増してきます。




【承和色】
黄色い菊の色。平安時代の承和(じょうわ)年間に
好まれた色が、いつしか「承和(そが)」に転じたと
されています。承和色からは少しそれますが、かさ
ねの色目にある「枯野」は黄と淡い青をかさねたも
の。青といっても古くは緑であったことから、このお
菓子の黄と緑のあわせ方と、ほぼ同じになります。

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2008年10月26日

かりやすいろ − 刈安色




すすきに似た刈安で染めた黄


秋に花の穂をだす刈安は
どこにでも自生し、刈りやすいことから
その名がついたとも言われています。

すすきのようなイネ科の植物だからというより
刈安の名が、刈り穂を思わせるからでしょう。
どうしても百人一首の天智天皇の歌が浮かんできます。

秋の田の かりほの庵の とまをあらみ わが衣手は露にぬれつつ

秋の田の、仮庵(刈り穂)の庵の屋根のとまが粗いので
袖が夜露にぬれてしまった、という歌です。

新米の収穫も終わり、見まわせば野山も黄葉する時季。
お菓子も「秋の山路」へと秋色に染まってきました。

このお菓子、仙台ではあまり見かけない“こなし”になります。
見ためは、練りきりと変わりませんが、
こし餡に小麦粉を混ぜて蒸し、もみこなしてつくる
京都独特の製法になります。

仙台の限られたお店で、期間限定でつくられているため
その期間を待っての楽しみとなりました。
もっちりした重みのある食感。
練りきりとの違いもまた、味わい深いものです。




【刈安色】
やや緑みのある黄色。刈安で染めた色になります。
中国から渡ってきた刈安は、色名も古く、奈良時代
から文献に登場するほど。庶民の衣服の色でもあり
ました。八丈島の絹織物である黄八丈は、八丈刈安
(別名コブナグサ)で繰り返し染めた色になります。

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2008年10月19日

かきいろ − 柿色




柿の実の朱がかった紅色


つい先日、車窓から見た里山には
ぽつぽつと色のしずくを落としたような
朱紅色が見えました。
遠目にも、それが民家の庭先にある
柿の実とわかったのは、その色からです。

たいてい仙台の街で売られているのは
ぽってりとした横広がりの種なし柿。
それでも少し車を走らせれば
のんびりとした光景が広がる里山に着き
どんぐりのように細長い形をした柿を、味わうことができます。

その実は少し固めで、歯でくだくような食感。
さっぱりした口あたりでも、ちゃんとした甘みがあり
懐かしい気持ちになります。

出身地の島根には
柿本人麻呂をまつった柿本神社があります。
その柿本人麻呂の名も
庭に柿の木があったことに由来するのだそう。

万葉のころの柿は、どのような形と甘みだったのでしょう。
昔と今とを行きつ戻りつしながらいただいた
麩焼きせんべいの「柿」です。




【柿色】
柿の実のような黄赤色。奈良時代に中国から伝わった
柿は、色名も古くからあり、平安からとする説、室町から
とする説、があります。柿の実が熟した赤みのある黄色
を照柿(てりがき)、柿色より赤みの少ないものを近衛柿
(このえがき)といい、柿にちなむ色名もさまざまです。


posted by mikk at 22:04| Comment(12) | 神無月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月11日

ひわだいろ − 檜皮色




ひのきの皮で染めたこげ茶色


先日いただいた栗は、ふっくら大きめ。
うれしい初物となりました。
それが、さほど離れていない木であっても
実の育ちには、ずいぶん差があるのだとか。
養分を含んだ水の流れのせいなのか
土の違いなのか、よくはわかりませんが。

そこで浮かんだのが
宮大工の棟梁、西岡常一さんの言葉です。
木の性質は、土や環境によって異なるため
「木を買わずに山を買え」というのだそう。
その多くの言葉の柱となっていたのが、口伝です。

人間国宝の志村ふくみさんも
今の人はノートをとるのに懸命で
五感で覚えるところまで至らないのでは
と口伝の重要性を説かれていました。

それは、覚えようとする気構えに通じるのかもしれません。
書きとめずに、どれほど取りこぼさずにいられるのか
おそれにも似た思いはあります。

多くの言葉を身につけていけるように
願いもこめて今日は「栗ひろい」となりました。




【檜皮色】
黒みの赤茶色。『源氏物語』にも「檜皮色の紙の
かさね」として登場する、平安時代からある色み
です。衣服のかさねの色目にもあり、ひのきの樹
皮を表すように、黒みをおびた赤の蘇芳色と、薄
い藍色をかさね、一年を通して着用されました。

posted by mikk at 23:50| Comment(18) | 神無月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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