2013年08月31日

せいじいろ − 青磁色

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磁器の淡い青緑色


「身代わりになってくれるからね」
そう言われて台湾で求めたのは
ねこの形をした
指先ほどの小さな翡翠(ひすい)でした。

壊れたとき、なくなったとき
それは身を挺して
持ち主を守ってくれたということだと教わりました。

命の象徴として尊ばれた翡翠の
その色を模してつくられたのが、青磁です。

中国でつくられはじめた青磁は
やがて朝鮮半島の高麗に伝わり、高麗青磁に。
そして、日本に伝わり佐賀県の鍋島藩でつくられ
鍋島青磁も広まっていきます。
その多くは、美術工芸品。

日常づかいにされる青磁は少なく
ごくごく淡い青みから灰みを帯びたものまで
色に幅があります。

このお菓子「茜空」は
本来の青磁色である中国青磁の色みに近いようです。

青磁色と、夕焼けをあらわす緋色。
かさねの色目にあってもよさそうな
相性のよい配色を教えてくれるお菓子です。




【青磁色】
中国青磁のような、淡い青緑色。中国から日本に
青磁が伝わったのは、平安時代とされ、その器の
色にちなんで名づけられました。産地によって青
磁の色は異なり、秘色(ひそく)とよぶ場合も。ち
なみに高麗でつくられた青磁は、もう少し黄みが
かった色。かつて紹介した山葵色にも似ています。















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2013年08月30日

しののめいろ − 東雲色

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朝焼けの色


春眠にかぎらず
たいていは暁をおぼえず。
いつまでも眠っていられたらと思うほうです。

それでも、ときおり
夜明け前からとりかかることがあると
東の空にたなびく雲が
東雲色に染まっていく様子を見ることがあります。

ちょっと気が急いていても手を止め
明けていく空を見ていると
身体のすみずみまで、気がゆきわたっていく感覚に。

とくに夏の時季は
障子越しにまっすぐ差し込む朝の光も好きで
それまでの部屋が一瞬にして変わり
清々しく、力を与えられた気になります。

この花も同じ気分かもしれません。
朝の光をうけて咲く「むくげ」です。

そこここで目にすることが多い、夏の花。
花どきの長い印象ですが
一輪一輪は、その日の朝咲いて
夕暮れには閉じる一日かぎりの花です。




【東雲色】
淡く黄みがかった赤。このお菓子でいえば、花芯の朱が
かった赤い部分。東の空に見える朝焼けの色を表し、曙
色(あけぼのいろ)とも言います。朝焼けが東雲色なら、
夕焼けは茜色(あかねいろ)。黄みが勝る淡い東雲色に
対し、赤みが勝る濃い茜色。見比べると、自然の色をど
う捉えたのか、日本のかつての感覚がつかめそうです。











posted by mikk at 23:25| Comment(0) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月30日

きはだいろ − 黄檗色

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黄檗の樹皮で染めた明るい黄色


ひとつひとつ姿形の異なる
「かもめ」のお干菓子です。
くちばしに見つけた黄色が、黄檗色。

この色、沖縄の城間びんがた工房で見せていただいた
目の覚めるような黄色に似ている気がします。

ただ、このかもめから浮かんでくるのは、港の朝焼け。
かつて見た
しらじらと夜が明けていくときの光景です。

さんま船が帰港し、大きな網で陸揚げするとき
網から地面にこぼれ落ちてしまうさんまが、
けっこうあります。

それを空から狙うのが、うみねこ。
陸から狙う、ねこもいます。

うみねこやねこを追い払うこともなく
悠々と自分たちの仕事を進める漁師。
ひとも動物も、ともに生きている。
そう感じる光景でした。

先日、気仙沼に行ったとき
うみねこの数が減っている気が……。
漁船が一艘、二艘と増えていくことを願っています。




【黄檗色】
ミカン科の高木「黄檗」の内皮で染めた、鮮やかな黄
色。いまでも草木染めで、よく用いられる染料です。
防虫効果があり、写経用の紙を染めるのにも使われ
ていました。正倉院に伝わる黄紙や黄染紙も、黄檗
で染められたと考えられています。薬効もあり、漢方
では整腸剤「黄檗(おうばく)」として知られています。








posted by mikk at 06:47| Comment(0) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月30日

きくがさね − 菊重

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白菊のうつろいを表すかさね色


葉月も、あと一日。

いっときは、急に肌寒くなった気候に
早くも秋がやってくるのかと思ったら
いまも隣のお寺の木立では、セミがかまびすしく鳴き
まだまだ夏は終わらない
と言っているかのようです。

かと思えば、こちらの庭先には
秋明菊が開きはじめました。
夏と秋が、とけあうこのごろ。

お菓子は「桔梗(ききょう)」。
秋の七草のひとつです。

萩、尾花、葛、なでしこ、おみなえし、藤袴、朝顔。
この朝顔が、桔梗といわれています。

ふた色あったこのお菓子を並べてみると
その色あわせは
秋らしい白菊を思わせる
かさねの色目へと姿をかえました。




【菊重】
白と淡紫のかさねの色目。秋に身につけられる色あい
です。似た配色に、蘇芳菊(すおうぎく)があります。
こちらは白と濃い蘇芳色(黒みをおびた赤系の色)の
かさなり。白菊が霜にあい、蘇芳色にうつろう様子を
表した色目とされています。だとすると、この菊重は、
夜露にぬれた白菊をあらわしているといえそうです。








posted by mikk at 12:01| Comment(4) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月18日

びゃくろく − 白緑

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白みがかった淡い緑


ずいぶん薄れてきてはいても
その土地、土地に、受け継がれてきた
色彩文化があります。

それは衣食住にわたり
ごく自然に暮らしの中にあって
見過ごしてしまいそうなほど。

このお菓子「緑陰」は
見る人によっては
抹茶風味を想像されるかもしれません。

ですが、この時季、東北でこの色といえば
枝豆をすりつぶした、づんだです。
仙台の和菓子屋さんには
それぞれ風味を生かした、づんだ羹(かん)が並びます。

はじめて、づんだを見たのは
高校まで過ごした、島根でのこと。
たまたま見かけた同級生のお弁当に
入っていたのが、づんだあんのおはぎ。

なんだろう……。
小豆あんのおはぎしか見たことがなかった当時
とても不思議な感覚だったのを覚えています。

それが、仙台に暮らすようになり
づんだの控えめな甘さと
こまかい粒々の食感がくせになり
いまでは、小倉よりもまず、づんだ。

食の色彩文化のもとにあるのは
その土地らしい、おいしさなのでしょう。




【白緑】
文字通り、白にちかいごく薄い緑色。顔料で
ある緑青(ろくしょう)を、最も細かい粒子にす
ると白みがかった白緑になります。飛鳥時代
に中国から伝わった絵の具で、仏画や仏像、
古い建築物や彫刻の彩色に用いられました。
現在でも、日本画などで見ることができます。








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2010年08月31日

せみのは − 蝉の羽




蝉の羽を模した夏のかさね色


虫の音にかわる時季になっても
夏の名残のように
まだ蝉が鳴いています。

その蝉の羽をモチーフにした
2色によるかさねの色目を
「新涼」というお菓子に見つけました。

あまりにも直接的な色名なので
お菓子の色にあてるのは気がひけますが
この端正な色や形と
色名がしっくりくる気がして
紹介することにしました。

蝉の色といえば、茶系だとばかり思っていましたが
この色目には、なぜか緑も含んでいます。
もしかしたら
クマゼミの羽化した色に
ちなんでいるのかもしれません。
涼やかな緑の羽をしているので。

このかさねの色目は平安時代からあり
夏の薄衣に用いられたといいます。
現代でも、さらりと素敵な着こなしができそうです。




【蝉の羽】
黒っぽい赤茶の「桧皮色」と、古くは「青」と表した緑
色、2色の組み合せです。かさねの色目の表に桧皮
色、裏に緑なので、お菓子の配色を上下にすると、よ
り本来の色合わせに近づきます。動物にちなんだ色
目は少なく、ほかには「玉虫色」があるくらい。色目が
残らなかったのは、その名も影響しているのでしょうか。

posted by mikk at 23:56| Comment(4) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月30日

ききょういろ − 桔梗色




平安よりある青紫の花色


和に傾きすぎている気がして
紹介しようか、どうしようか
しばらく考えていた「桔梗」です。

この前に取りあげたお菓子も、同じ桔梗。
イメージでいえば
今回のが日本に自生する桔梗とすれば
前回のは、洋花のトルコ桔梗といえるかもしれません。
それぞれ、醸し出す雰囲気にも
持ち味があるものです。

最初は気になった純和風の趣も
だからこそ、ひと目で和花と知らせるもの。

短所かに思われたところが長所だったのだと
気づかされたお菓子です。
振りかえれば、人も同じ。
自分のあり様を反省ばかりしているより
そこが美点と思えば良いのかも。

桔梗の花姿のように凛として
生きられればと思うこの頃です。




【桔梗色】
青みがかった紫。桔梗の花の色です。平安時代か
らある色名で、ひと色による「桔梗色」と、ふた色に
よるかさねの色目の「桔梗」もあります。かさねで
は、花を表す紫みの二藍と、葉を表す緑みの濃青
の組み合わせ。秋に身につけられた色あいです。

posted by mikk at 20:56| Comment(8) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月26日

うすぐんじょう − 薄群青




紫みをおびた淡い青


空は高く、ゆく風は涼しく
早くも秋の気配です。
夜静まってくると
どこからともなく虫の音が聞こえてきます。

和菓子にも、秋の七草のひとつ
「桔梗」をかたどったものを
多く見かけるようになりました。

早めに咲きはじめるので
和菓子屋さんの店頭には、桔梗が花ざかり。
ねりきり、ようかん、打物と
さまざまに清楚な花姿が描かれています。

この紫がかった青が、薄群青です。
紫といえば、6月の初めに
益子の藍染め工房でいただいた、植物のムラサキ。
小さな白い花をつけると聞いていたのですが
会うことなく終わってしまいました。

その根は、紫根(しこん)として
紫色の染料になりますが、絶滅危惧種にもなるほど
育てるのが難しいそう。

出会えなかったムラサキの
可憐な白い花を思い出させた
お菓子にあしらわれた白い小花でした。




【薄群青】
薄い群青色のこと。岩群青から生まれる群青色は、
濃淡により名前を変えていきす。もっとも薄い色が、
1年前に葉月の項で紹介した「白群(びゃくぐん)」。
やや濃いのが薄群青、さらに群青、そして紺青(こん
じょう)。淡さの中に艶やかさがあるのが薄群青です。

posted by mikk at 11:57| Comment(6) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月31日

はねずいろ − 朱華色




うつろいやすい上位のうす紅


葉月のしめくくり。
いつになく涼しい夏のせいか
すでに気分は秋の訪れといった印象の
「着せ綿」です。

いまの時代、九はあまり好まれませんが
かつては良い数字とされ
旧暦九月九日は、二つも重なる重陽の節句として
また菊の節句として
平安時代から宮中行事のひとつに
数えられてきました。

この日は、不老長寿を象徴する菊を眺め
菊花を浮かせた酒をくみ交わしたといいます。
その前夜、菊が夜露に濡れないように
花にそっとかぶせた綿。
翌朝には、ほんのり菊の香と夜露をふくんだ綿で
身をぬぐい長寿を願ったとする着せ綿です。

最近は、あまり見かけない風雅な行事。
菊の香をうつした綿を
肌にあててみたいと思う女性は
いまの世もいるような気がしますが
もっと即効性のあるコスメのほうが
時代に求められているのでしょうか。




【朱華色】
白みをおびた淡い紅色。庭梅や蓮の花の色のよ
うな淡い紅とする説のほか、ざくろの花色のような
黄赤色とする説もあります。天武天皇の御代に、
皇族が身につけた位のある色。あせやすいことか
ら、うつろいやすさの枕詞としても使われました。

posted by mikk at 23:50| Comment(12) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月30日

たんこうしょく − 淡黄色




あさい歴史の淡い黄色


仲秋の名月は、陰暦の八月十五日。
いまの陽暦でいえば、ひと月後。
今年は九月十四日が、その日にあたります。

少し早めに浮かんだ
まんまるお月さまに、跳ねるうさぎは
「お月見お干菓子」。
月の上部にあたる色が
その名のごとく、淡黄色になります。

日本では、雪月花、花鳥風月と
月には、ひとかたならぬ思いがありました。
十五夜の満月をもとに、十六日から二十日まで
少しずつ遅くなる月の出を、
十六夜、立待月、居待月、臥待月、更待月といい
立って待ち、家に居て待ち、臥して待ち、夜更けて待ちと
心情をたとえた呼び名が、ひと夜ごとにあるのも
その表れでしょう。

月をじかに見上げるのではなく
水をはった瓶や盆、酒を注いだ杯に
映して眺めるのも、また乙なもの。
もしも、雨で見えなくても
雨月として、その風情を楽しみたいものです。




【淡黄色】
黄色の薄い色。明治時代に生まれた色名とする
説もあります。夏目漱石が『吾輩は猫である』や
『草枕』で、「淡黄色」や「淡黄」という表現を使っ
ているのも興味深いところ。この淡い黄色が薄茶
がかってくると、鳥の子色や象牙色になります。

posted by mikk at 23:51| Comment(8) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月23日

くさいろ − 草色




深みをました夏の緑


ずんだ餅をご存じのかたは
多いでしょうが
こちらは「づんだ羹」。
枝豆のうす皮をとり、すりつぶして、
ほんのり甘くして、
寒天にとかし、かためたものです。

お店によっては、7月までは仙台ちゃ豆。
8月に入ると、山形県庄内のだだちゃ豆へと
素材をかえていくところもあります。

仙台ちゃ豆のづんだ羹は、
口当たりなめらかで風味も軽やか。
だだちゃ豆になると
口当たりのよさはそのままに
香りが全身にゆきわたるかと思われるほど
風味がぐんと深まります。

それは、たとえていえば
杜のけやき並木と、奥入瀬のぶなの森ほどの差。
つい先日訪れた奥入瀬は、まさに草色で
繁茂する木々で、車道や空気さえ緑に染まっていました。
景色も、お菓子も
この時季だけの味わいです。




【草色】
黒みのある黄緑色。夏の草のように葉緑素を
たっぷりと含み、緑が濃くなった色になります。
「草色」になる前、卯月の頃は「若草色」、その
前の弥生の頃が「萌黄色」。こうしてみると、色
名を追うだけで、緑の一生を見ているようです。

posted by mikk at 22:50| Comment(16) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月16日

びゃくぐん − 白群




群青の本質にみる白みの青


ここ数日、仙台は雨つづき。
初秋の気配さえしてきました。
そうなると、ゆく夏を惜しみたくなるもの。

すがすがしい色あいの「うちわ」です。
この淡い青が、白群になります。
顔料の岩群青をもっとも細かな粒子にすると
得られる色みです。

そういえば
そばの実は挽くほどに
黒ごまはするほどに
白っぽくなりますが
それと同じようなものでしょうか。

本質に近づくほど、色がそぎ落とされていくのか
塊の結びつきをたちきるから、希薄になっていくのか
どちらなのかは、わかりませんが。

もっともわかりかねる自分のことも
細かにつきつめていけば
本質の色が表れてくるかもしれません。
どのような色になるのか
ちょっと気になるところです。




【白群】
白群青ともいう、白みがかった淡い青緑色。岩絵
の具の岩群青を砕いた色になります。細かくすれ
ば紺青(こんじょう)に、もっとも細かくすれば「白
群」になります。似た色名に白緑(びゃくろく)があ
り、こちらは岩緑青(いわろくしょう)をもっとも細か
く砕いたもので、白みをおびた緑青色になります。

posted by mikk at 13:56| Comment(8) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月07日

ふじばかまいろ − 藤袴色




秋の七草にあたる淡い紫


仙台では、ちょうど七夕まつりの中日。
ほかの地域より、ひと月遅れの八月七日が
仙台にとって七夕になります。

街なかはもとより
いくつか駅を隔てたところでも
織姫の織糸をあらわした吹き流しをさげた竹飾りが
あちらこちらで見受けられます。

和菓子にも、七夕らしいものがいろいろ。
そのひとつ「願いの糸」です。
織姫が機を織るときに欠かせない糸巻にちなんだもの。
一年に一度、恋い慕う人に出会えるように
思いをこめた銘にも、趣があります。

例年はひと雨くることが多いのですが
今年はその心配もなく
盛夏そのものの陽射しにあふれています。

それでも暦のうえでは、もう立秋。
七夕のお菓子も
初秋に咲く藤袴の花の色となりました。




【藤袴色】
淡く紅がかった、白にちかい紫色。『源氏物語』
にも花の名が登場しますが、かさねの色目にあ
る紫を重ねた「藤袴」は、平安時代より後に生ま
れたものとされています。紫系も、初夏の色、秋
の色、季節によってわずかに異なってきます。

posted by mikk at 17:29| Comment(12) | 葉月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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