2013年03月30日

たんぽぽいろ − 蒲公英色

tanpopo.JPG

野に咲く花のように鮮やかな黄色


仙台もそろそろ桜かと心待ちにしていたら
3月末ちかくになって
ようやく梅が咲きました。

和菓子の季節では、梅の花はとうに過ぎ
めぐりめぐって
「たんぽぽ」の時季を迎えています。

素朴でかわいらしい印象の花ですが
踏まれても
めげずにぱっと上を向き
太陽を見上げて精いっぱいに咲く花。

花どきを過ぎると
ぽんぽんと球のような綿毛になって
ふわりふわりと風にのり
またどこかの土に根をおろします。

そして、なにごともなかったように
上を向いて咲く。

路傍のたんぽぽは生きるすべを示す
師匠のようです。




【蒲公英色】
たんぽぽの花のような明るい黄色。花にちなん
だ同系の色も、さまざまあります。明るい黄色の
類でも、緑がかっているのは菜の花色。赤みが
かっているのは山吹色。やや赤みを含むのは向
日葵(ひまわり)色など。わずかな色みの違いを
見出し、季節を感じるのが日本らしいところです。











posted by mikk at 11:53| Comment(2) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月31日

さくらいろ − 桜色

ohanamidango2.JPG

ほんのり清楚な淡紅


やっぱり春はうれしくて
寒さがやわらいだ日には
ついつい出かけたくなってきます。

重いコートや濃い色をはずし
なにを着ようかと迷いながらも
ちょっとうきうき。

庭先のあたたかい陽射しを見ては
てくてく歩こうか
自転車で風を感じようかと
気分がはずんできます。

そんなときに出会った、春色の「お花見団子」。
桜色、萌黄色、菜の花色、
のせられた餡の色は、桜鼠。
ふわっととけていきそうな淡い色たち。

晴れわたった空を見上げながら
いただきたくなります。
なんでもない小さなことが、うれしい春。

まだまだそれどころではない方の心にも
ひらり、そっと、桜色が届きますように。




【桜色】
白にちかい淡紅。このお菓子では、いちばん手前の団子
の色になります。淡い色をかさねた襲(かさね)の色目も、
桜にちなんだ襲の色目も数々ありますが、等しい色あい
が見つからず、桜色での紹介になりました。ちなみに桜
の花色は、品種によって色あいが異なります。このお菓
子は、白みがかった山桜の色あいにちかい気がします。








posted by mikk at 22:11| Comment(0) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月31日

もえぎいろ − 萌黄色




萌えいづる黄緑


このたびの震災に際し
お気づかいありがとうございます。

まだ灯油がゆき渡らず
寒さの心配はありますが
ふと気づけば庭先には
緑の葉がひゅっと伸びていました。

季節は着実に、春に向かっています。

都市ガスの復旧待ちで
お休みの和菓子屋さんもありますが
いつもと変わらぬように迎えてくださる
和菓子屋さんもあります。

上生菓子も並んでいましたが
目をひいたのは麩焼きせんべい。
春の野に咲く「早蕨(さわらび)」です。

いつものように季節を感じられる和菓子に出会えること
いつものように暮らせること。
なんて恵まれているのだろうと感じます。

そして、あたり前のようにお店を開いている
静かな心意気も、東北らしいと思うのです。




【萌黄色】
芽吹いたばかりの、淡々とした黄緑。読みは同じ「も
えぎいろ」でも、萌黄色は黄みがかり、萌葱色は緑が
かった色のこと。『源氏物語』にも登場する伝統色で、
春の色といえば、まず浮かんでくるのがこの色です。
春を待ちわびる東北で、最も愛される色ともいえるで
しょう。萌黄色を眺めていると、心も浮き立ってきます。

posted by mikk at 23:22| Comment(4) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月03日

うすさくらもえぎ − 薄桜萌黄




若葉ごしに山桜の紫を見るかさね色


桃の節句には
お店ごとにお雛様をかたどった
お菓子が並びます。

なかでも目をひいたのが「お雛様(一対)」。
お内裏様がまとっておられる
きものの緑と襟元の紫の色あわせが
薄桜萌黄のかさねの色目になります。

きものにあしらわれているのが
桃の花ではなく桜の花なのも
もしかしたら、菓子職人の方が
薄桜萌黄にちなんで押したものかもしれません。
お人形のような、美意識を感じさせるお菓子です。

いつまでも眺めていたくなりますが
先日からお話をうかがっているお菓子の研究員の方や
お菓子屋さんが口をそろえておっしゃるのは
「おいしくあってこそお菓子」。

その言葉に背を押されるように
風味豊かなうちに
こしあん入りのお雛様をいただきました。
ですが、やっぱりちょっと罪の意識。
手を合わせるような気分です。




【薄桜萌黄】
淡青(緑)と二藍(紫系)の、二色による色あわせ。
若葉ごしに見える山桜をあらわした色目なのでは、
と考えられています。お正月から三月まで、若者が
身につけた装いの色。淡青をもう少し濃く萌黄にす
ると、花時を過ぎたかさねの色目「葉桜」になります。
わずかな色の違いから、季節が匂い立つようです。

posted by mikk at 20:34| Comment(12) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月15日

はねずいろ − 朱華色




うつろいやすい上位の淡紅


ようやく見つけることができました。
弥生の時季に、はねず色。
じつは昨年、葉月の頃にとりあげたとき
春の色なのでは、と教えてくださった方がいました。

京都の山科にある随心院の紅梅が、はねず梅と呼ばれ
花の咲く三月に、はねず踊りが行われるのだそう。
小野小町の伝説にちなんだ踊りとされ
はねず色に染まったきもの姿の女性たちによる踊りも
はんなりしている様子。

こちら仙台では、はねず踊りはありませんが
それにちなんだかのような
はねず色のお菓子「梅の香」です。

この色、子どもの頃から見ていた覚えがありますが
あまりの匂いやかさに、気遅れしてしまう色でした。
それが、いつの頃からか少しずつ
気になる色になってきました。

もしかしたら、心のどこかで
はんなりした部分を持ちあわせられればと
思っているのかもしれません。




【朱華色】
白みをおびた淡い紅色。庭梅や蓮の花のような
淡紅色とする説、ざくろの花のような黄赤色とす
る説もあります。天武天皇の御代に親王以上に
許された、位のある色です。色があせやすいこと
から、うつろいやすさの枕詞としても使われました。

posted by mikk at 18:11| Comment(17) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月31日

さわらびいろ − 早蕨色



野山にもゆる山菜の色


山菜採りにでかけても
子どもの頃、すぐに駆けよっていたのは
くるんとした新芽を綿毛で覆った
ゼンマイのほう。

ワラビはすらりとした姿が
どことなく大人びていて
その先の、もさもさとした食感も
子どもには理解しがたい味でした。

それが、お菓子となると
「早わらび」として語感もさわやかに
もゆる春を知らせます。

いまになってみると
あの、もさもさとした芽は
まるで赤ちゃんが
むすんだ手をひらくときのよう。

早わらびの愛らしさに
ようやく気づいたこの頃です。




【早蕨色】
春の野にもえでた早蕨のように、黒と茶が入
った渋みのある緑です。かさねの色目にも「早
蕨」があり、新芽の部分を紫に、茎の部分を青
(現在の緑)に見たてています。この装いは三
月のものですが、室町時代にはすでに着る人
が少なくなっていた色とも伝えられています。

posted by mikk at 22:26| Comment(8) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月28日

やなぎいろ − 柳色



都の春のしだれ色


まったく意識していなかったものに
ふと気づくことがあります。

学生時代は気にもとめていなかった
柳に桜のとりあわせが
車窓を過ぎていく京のまちに見えたとき
こんなに身近に、と思ったものです。

どのようなこともそうですが、
気づくようになると、
とたんに目にすること、耳にすることが
多くなる気がします。

いままで何を見ていたのだろうと思うばかり。
まだ気づいていないことが
どれほど膨大にあるのでしょう。

自分の中にある、うっすらとした関心事に気づくこと。
そこから、はじまるのかもしれません。

その気づきとなった「花くれない」です。
「柳は緑 花は紅」にちなんだお菓子は、
和菓子に季節の色が秘められていることを
おしえてくれました。




【柳色】
柳の若葉をあらわした色。萌黄色より、やや
黄みがかった渋みのある色になります。葉の
裏の白さをうつした、葉裏色という色名もあり
ます。柳色は平安期からある色名で、かさね
の色目も多種。柳、青柳、花柳など、いずれ
も冬から春へとむかう時期の装いの色です。

posted by mikk at 18:51| Comment(8) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月21日

さくらいろ − 桜色



あるかなきかの色に酔う


さくらの時季になると
いつも浮かんでくる句があります。

ねがわくは花の下で春死なん

花びらが、はらはらと舞い散るもとで
逝きたいという憧憬にも似た西行の願いに
たしかにとの思いが重なります。

そう思いながらも
実のところは芭蕉の句のように

花のふる日は浮かれこそすれ

夜桜のもとで
花も月も愛でるのを忘れ
ただただ宴となってしまうのですが。

その花のときも、十日ほど。
すぐにこの「花びら」のように
春風にのってしまいます。

わずかな、ひとときではあっても
いつ咲くかと待ちわびるこの時季から
さくらの季節は、はじまっている気がします。




【桜色】
山桜のような白に近い、かすかに紅を含む色。
よく見かける染井吉野よりもっと白に近く、紅色
の系統のなかで、もっとも淡い色になります。
桜にちなんだ、かさね色も多く、薄花桜、葉桜、
樺桜など10種を超えるほど。その色みは、年
齢が高くなるほど白に近づくとされています。

posted by mikk at 20:19| Comment(12) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月15日

もえぎ − 萌黄



めざめたばかりの芽吹き色


これほど春を待ちわび
新緑をうれしく思うようになったのは
北の国に来てからのことです。

冬から春へしだいに移り変わっていく
西日本とは異なり、みちのくでは
いっせいに木々が芽吹き、花開きます。

みずみずしい若葉に
すかし見える陽ざしも
さわさわと揺れる葉音も心地よく
あちこちから植物たちの
笑い声が聞こえてきそうです。

そんな緑の間をゆきかう
ちょうちょを表した「舞ちょう」。
ひらひらと風にのるように
花から花へとゆく姿もまた
喜びの舞いのよう。

杜の都が萌黄色に染まるのも
もうすぐです。




【萌黄色】
萌え出たばかりの黄みのある冴えた緑。萌葱色、
萌木色とも書きます。『源氏物語』にも出てくる、
平安期から用いられた色名で、若者に向く色とさ
れています。似た色に、萌黄より黄みがまさった
鶸色(ひわいろ)があり、それは小鳥の鶸の羽色
に由来するのだとか。ちなみに、三月に着るかさ
ね色の桃は、淡紅と萌黄の色あわせになります。

posted by mikk at 17:56| Comment(10) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月07日

ときいろ − 朱鷺色



天の羽衣のような翼色


季節のさきがけとなることの多い
和菓子ですが、
桃の節句を過ぎても名残を惜しむように
桃にちなんだお菓子が並んでいます。
ふっくらした「西王母(せいおうぼ)」もそのひとつ。

中国の仙女、西王母がいる園に
三千年に一度実るという
不老長寿の仙桃の故事にもとづいたものです。

ほんのり染まったこの色、
どこかで見たことがあると思ったら
トキの羽根の色でした。
「桃花鳥」と日本書紀や万葉集に記されるトキは
中国では吉祥をよぶ鳥とされています。

国の天然記念物で、
この秋には佐渡で放鳥されるとか。
江戸時代には、ごく身近にいたトキの姿を
また眺められる日が近づいています。
夕焼け空を舞う朱鷺色はさながら
天の羽衣のようかもしれません。


【朱鷺色】
やや黄みがかった淡くやさしい桃色。鴇色とも
記されます。この色名は江戸時代に生まれた
もので、きものの染め色として若い女性に好ま
れてきました。似た色に、洗朱(あらいしゅ)、
浅緋(あさあけ)、珊瑚色(さんごいろ)などが
あり、黄みをふくむ緋色の系統といえます。

posted by mikk at 17:06| Comment(8) | 弥生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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