2013年02月28日

もものかさね − 桃のかさね

yayoidan2.JPG


淡紅、白、萌黄の三重がさね


この時季になると思い出す方がいます。
加藤廉兵衛さん。
お目にかかったことはありませんが
鳥取で長く土人形をつくられていた方です。

その人形は手のひらにのる、ころんとしたかたち。
なかでも、黒衣をまとった男びなの表情に
特徴がありました。
しもぶくれの顔に、しゅっと目じりの上がった細い目。

ごきげんななめなのかと少し心配になるような
かといって怒っているわけでもない
愛嬌のある凛々しさといったらいいか。

その姿かたちから、つくり手の廉兵衛さんもきっと
ふっくらして目じりの上がった
おじいちゃんなのだろうと想像していました。

ですが、違っていました。
昨年96歳で亡くなられた廉兵衛さんを
特集した番組の映像を見ると
そこに映っていたのは
白いシャツに帆布のエプロンを身につけた
端正な細面の紳士でした。

その表情は、静かで哲学的。
腰かけて語る姿の後ろには
分厚い書物の並んだ書棚がありました。
物静かで孤高ともいえる男びなの表情に
通じるところがありました。

先の地震でわが家にあった
廉兵衛さんの男びなと女びなは
はらりと壊れてしまったけれど
今も「弥生壇」のお菓子をいただきながら
浮かんでくるのは、あの人形。

この弥生壇の白小豆の風味もそうですが
記憶にのこる良い味わいに、惹かれます。




【桃のかさね】
淡紅、白、萌黄の三色によるかさねの色目。桃を
表すかさねの色目には、淡紅と萌黄による二色も
あります。こちらは白をはさんだ三重がさね。その
配色は、桃の花、雪、新芽を表すといわれています。











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2012年02月29日

もものかさね − 桃のかさね

hatsune2.jpg


淡紅と萌葱の二色がさね


ころんとした姿が愛らしく
むくむくとあたたかそうなお菓子「初音」。

春の訪れを知らせるうぐいすの音を
初めて聞くことにちなんだものです。

春告鳥とも言われるうぐいすの声を
そろそろ聞きたいところだけれど
聞こえてくるのは、雪の知らせばかり。

今日も、ちらつく雪を窓から眺めては
屋内の桃の花に目を移して
色から暖をとっていました。

このところ冬ごもりで、
自分でも気がつくくらい、ころんとした顔に。

ちょっと自制しなければと思いつつ
桃の節句に向けて
ほんのり甘い花餅をつくろうかと思っていたりもして……。

花やおたふくなどをかたどった
素焼きの焼きもので形づくる花餅は
いただくのも楽しみ。

自制の日々は、またちょっと先延ばしになりそうです。




【桃のかさね】
桃をあらわすかさねの色目には、二色のものと、三色
のものがあります。今回紹介するのは、二色のほう。
桃の花をあらわす「淡紅」と、新芽をあらわす「萌黄」
による配色です。ちなみに三色のほうは、雪をあらわ
す「白」をはさみます。三色の組み合わせは、ひし餅
の配色を想像すると、わかりやすいかもしれません。








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2011年02月28日

ゆきのした − 雪の下




雪の下の紅梅を表すかさね色


仙台でも、ぽつぽつと
紅梅のつぼみが見られるようになりました。

今朝は、また雪。
積もりはしませんでしたが
かなりの冷え込み。

水戸の偕楽園では
雪のふりかかった紅梅が見られたとか。
ちょうど今ごろの光景を表している配色が
「雪の下」です。

その色は、「お花の女びな」さまがまとっている
白と紅梅色をかさねた配色。

ちなみに、「お花の男びな」さまは
白と淡青(現代の呼び方でいえば淡い緑)による
「柳」のかさねの色目です。

毎年おひなさまをかたどったお菓子を
紹介していますが
そのお店ごとに、趣が異なります。

お菓子でできた
おひなさまに、ぼんぼり、菱餅、ひなあられなどを
ひな段に並べて、いくつも見比べられたら
どんなに楽しいでしょう。
いつか眺めてみたいものです。




【雪の下】
「雪の下紅梅」ともいう、白と紅梅をかさねた配色。
白と紅をかさねた配色とする説もあります。冬から
春にかけて用いられた色あい。平安時代からあっ
た配色なのかさだかではありませんが、室町時代
の『御伽草子(おとぎぞうし)』に文の色として登場
するため、その当時からあったと考えられています。

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2011年02月20日

あかむらさき − 赤紫




高貴な紫のひとつ


この時季にめずらしく
雨がふりしきる朝があったかと思えば、
その夜は、雪。
そして今日は、春のような陽射し。

春へ急いだり、冬に舞い戻ったり
空の気もそぞろのようです。

如月も半ばを過ぎると
木に春と書いてツバキと読む春の花
椿が並びはじめました。
このお菓子の銘は「つらつら」。

春のまどろみのなか
つらつら物思うという意味かと思ったら
花が連なっている様子を表わす
“つらつら椿”から名づけられたものでした。

そういえば、子どものころ
家の裏手に、椿の枝が垣根のように広がっていました。
しっとりした花びらはもちろん
つやつやした葉を
すーっと触れずにはいられませんでした。

葉を愛でる椿餅もよいものですが
春待ち顔の花のお菓子もまた
気分が暖かくなってきます。




【赤紫】
赤みがかった鮮やかな紫色。奈良時代や平安初期
には、朝廷に身につけていく正装の色のひとつでもあ
りました。最も高貴な色が、濃色(こきいろ)といわれ
た濃い紫色。それに次ぐ色だったといわれています。
紫の同系色には、深色(こきいろ=濃紫)、薄色(うす
いろ=薄紫)、滅紫(けしむらさき)など、多くあります。

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2010年02月28日

やなぎのかさね − 柳のかさね




猫柳の、新芽の白と葉の緑


こんこんと眠っていたくなる日。
このところの気温差でしょうか。
昼さがりに、ことんと眠りに落ちてしまいました。

春眠というには早すぎて
冬眠というには遅すぎる
移ろう季節のあい間。

草木も芽を出そうか出すまいかという時季に
「雪間草」というお菓子を見つけました。
野の雪からのぞく淡い緑を表したものです。

この白と緑のかさなりが
かさねの色目の柳になります。

猫柳は2月の季語。
昨年、猫柳色を紹介したのが
季節より少し遅れた4月でした。

早いなと感じている、時の流れ。
年齢を重ねるほど
その早さを増すといいます。
その早さに足をとられなければいいけれど
と思うこのごろです。




【柳のかさね】
白と淡青のかさね。猫柳の白毛と葉を表したものです。
青といっても、かつては緑色のことでした。ひと色の柳
色もありますが、柳にちなんだかさねの色目は数多く
あります。淡青・淡青は柳重(やなぎがさね)、青・淡青
は花柳(はなやなぎ)、淡黄・青は黄柳(きやなぎ)など。
いずれも、冬から春にかけて身につけられた色です。

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2009年03月01日

もものかさね − 桃のかさね




紅、白、緑の三重がさね


「小さきものは、みなうつくし」
清少納言が『枕草子』で、そう書いていたのが
なんとなくわかる気がします。

ふと見まわせば、少しずつ増えてきたひな飾りも
小さなものばかり。
はまぐりの貝にのった女びなと男びなは、親指ほど。
押絵がついた屏風も折りたためるほど小さくて
女びなと男びながふたり寄り添う絵柄も豆皿。

そして、今年加わった「ひな六角二段箱」も
二段目の和紙のひな飾りとかさねても
片手におさまるくらいです。

ひな道具を眺めているだけで
ままごと遊びの世界に入っていけるのも
小さなもの好きに通じているのかもしれません。

意識していないようで
すべては小さな選択のうえに成り立つもの。
きっとこれからも増えてくるのは
小さなもののような気がします。




【桃のかさね】
淡紅、白、萌黄の三重がさね。桃の花、雪、新
芽を表すともいわれます。このお菓子でいえば、
女びな、白梅、貝の色あわせ。かさなりではな
く、配色でご覧いただくことになりますが。かさね
の色目は二色が主流で、桃のかさねは淡紅と
萌黄。そこに白をはさむと桃の三重がさねです。

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とりのこいろ − 鳥の子色




卵の殻のような淡い黄茶色


また雪になりそうです。
如月に入って芽吹いた「ゆきやなぎ」も
この寒さに驚いていることでしょう。

子どものころは
ふさふさとした銀の毛並みを
指先で整えてみたり、頬にあててみたり
飽きることなく遊んだものでした。

仙台でも広瀬川のほとりに
ねこやなぎが、あるとは知っていても
なかなか見に行けずにいます。

かえって、東京に出かけたときのほうが
緑を意識しているかもしれません。
ビルの谷間にある木々や
都心の大型ビジョンに映し出される新緑や水辺などに。

都心にいると緑を求め
自然が身近にあると街を求めてしまうものなのでしょう。

ほどよく街があり、ほどよく自然がある宮城県には
大型ビジョンもありますが
ときに、産まれたての卵のぬくもりを
感じることもあります。
だからかもしれません、ここに暮らしているのは。




【鳥の子色】
鳥の卵でも、鶏卵の殻の色のことです。それも白
い卵ではなく、淡く黄茶がかったもの。このお菓子
の背景になっている色です。鳥の子紙といわれる
上質な和紙の色でもあります。かさねの色目にあ
る「氷重(こおりがさね)」は、鳥の子色と白をかさ
ねた上品な色あいで、冬に身につけられる色です。

posted by mikk at 00:03| Comment(4) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月28日

よもぎいろ − 蓬色




香り深きよもぎ葉の色


ひな祭りのお菓子といえば
「ひちぎり」です。
ちぎったお菓子は、なんとも大胆ですが
もとをたどっていくと宮中の儀式に用いられた
お菓子に由来するのだそう。

このお菓子の台に見えるのが、よもぎ葉です。
草の香りは、古くはけがれを払うとされ
お餅に入れて食されたといいます。

お餅に入れるのは
よもぎでも新芽のやわらかいもの。
それは草木染めにもいえるようです。

昨年たまたま目にとまって求めたストールが
よもぎで染めたものでした。
淡く透明感のある若緑色は
芽吹いたばかりのよもぎを摘みとって、染めたものだそう。
香りはしませんが、その色を見ているだけで
すがすがしい気分になってきます。

いつ身につけようか
そろそろ春待ちの気分です。




【蓬色】
成長した蓬の葉の色。新芽より少し濃い色みにな
ります。かさねの色目にも蓬があり、表が薄萌黄、
裏が濃萌黄。あるいは、白と萌黄をかさねる場合
もあります。色として身につけるのは夏の時期で
すが、言葉のうえでは蓬は3月の季語になります。

posted by mikk at 22:26| Comment(4) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月24日

ときわみどり − 常磐緑




緑をたたえる常緑樹の色


旧暦にならっている和菓子屋さん
なのかもしれません。
新年に好まれる「松」になります。
鹿の子に見えるのは黒豆
そのなかにはお餅という
年初めを思い出させるお菓子です。

常磐木の代表といえば松になりますが
思い出されるのは、杉のこと。
宮城県に杉林で知られる、津山という町があります。
そこに嫁いでこられた方から聞いたお話です。

義父となるおじいちゃんに初めて会ったとき
杉林を案内されたといいます。
少しずつ植林し、育てあげた山を案内するのが
なによりもの楽しみだったから。

今では、杉の木よりも、花粉のことを
耳にすることが多くなりました。
時代は変わってしまったけれど
おじいちゃんの想いの深さを知っているから
変わらぬまま山を育てていきたいと話したお嫁さん。

想いも、色も、保ち続けるには
それだけ信念が必要になります。
平常心でいたいと思いつつ揺らぎの多い自分にとって
見習いたいところです。




【常磐緑】
黄みをおびた深緑色。常緑樹の葉を表す色
には常磐色、千歳緑、老緑もあります。それ
らは、常磐緑と同色とする説、別色とする説、
どちらもあります。似た色に松葉色がありま
すが、こちらはくすんだ深緑色になります。

posted by mikk at 03:28| Comment(6) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月15日

はいざくら − 灰桜




はんなりくすんだ桜色


くるりと薄衣に守られた
箱入りのお嬢さまような「福梅」です。
1月のお菓子として並ぶことが多いのですが
花どきを考えてでしょうか
今月もまだ見ることができます。

姿は、梅の花なのだけれど
白梅でも紅梅でもない色は、灰桜。
かすむような色あいも、しとやかな印象です。

東京では寒桜が見られるようですが
こちら仙台は、まだしばらく先。
おなじ東北でも隣の山形では
冬に咲く桜として啓翁桜が知られています。
桜を咲かせた吉永啓太郎さんの名をつけた桜は
天にまっすぐ向かう枝ぶりが
なんとも伸びやかです。

お花見といえば桜ですが
子どものころのお花見は、たしか梅の木の下で。
それが、お花見だったのか、ひな祭りだったのかは
かなりあいまいなのですが。

春の陽射しと、見上げたときの梅の花、広げたお弁当。
お花見といえば、その光景が浮かんできます。




【灰桜色】
やや黄みの薄墨をとかした桜色。わずかに渋
みのある色になります。似た色名に桜鼠があ
り、こちらも灰みがかった桜色ですが、墨染
桜とも呼ばれるくらいの落ち着いた色みにな
ります。それより明るい色みが、灰桜です。

posted by mikk at 21:06| Comment(10) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月29日

うすあさぎ − 薄浅葱



さらりとした、ゆかしい色


ときが平安の世なら
きっと周りの人たちは
眉をひそめたことでしょう。
そのような色のお召しものを、と。

光源氏の子、夕霧が元服のときに着たのは
これよりも濃い浅葱色。
それでさえ、祖母にあたる人は
六位を示すその色を、ふびんに思います。

それよりさらに薄い色となれば
位などとは、およそ無縁。
その色に身を包まれた姿が
ひな祭りだからと控えているように思われて
なんとなく好ましく見えたので
あえて主役のようにとりあげてみました。

「めびな」さまには申し訳ないけれど
こんなにも淡い色を着こなせるのは
「おびな」さまをおいて
ほかにないように思われたので。




【薄浅葱色】
葱の若葉のような浅葱色を、淡くしたのが「薄浅
葱」。藍より出でた色のひとつです。江戸時代には、
「水浅葱」といった色名も出てきます。その水浅葱
より淡く明るく鮮やかなのが、薄浅葱とされていま
す。装いのうえでは浅葱系は夏の色になりますが、
お菓子なので少々早い季節の先取りとなりました。

posted by mikk at 17:43| Comment(12) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月22日

ももいろ − 桃色



すこやかな成長を祝う花の色


その名も色も、
どうにも幼く感じられ、
おもはゆい思いがしてしまうのは、
もも組だったせいでしょうか。
年少から早く抜けたくて
心待ちにしていた日が思い出されます。

ですが、この桃の花、
古代中国から渡ってきたもので、
けがれを祓い、子どもの成長を願うと同時に、
不老不死の故事まであるといいます。

そういえば、
桃の花咲く里に、
理想郷をみた話もありました。

野辺が桃色に染まるのは、
たしかに、桃源郷のおもむき。
きんとん仕立ての「咲き分け」は
そこに開いた、花桃のようでもあります。




【桃色】
まさに桃の花の色。赤系には、紅色、紫がかっ
た紅梅色、黄みがかった朱色がありますが、桃
色は薄い紅色で、淡紅の退紅と似た色調。さく
ら色より、わずかに濃いめになります。かさね
の色目にも「桃」があり、淡紅、白、萌黄の三
重がさねは、菱餅さながらの色あわせです。

posted by mikk at 17:40| Comment(8) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月15日

あさみどり − 浅緑



雪の野にみる早春の色


ころんとしたつぼみのような、
「ふきのとう」です。

まだ雪の残る時季に
そっと顔をのぞかせる春の山菜は、
陽が少ないなかで育ったせいか、
まだ浅い色。

姿かたちは柔和ながら、
味わいには、ほろ苦さが漂います。
この苦みを逃してしまうと、
なんとなく物足りない気持ちに……。

摘まずにおくと背たけて、
薄黄の花を咲かせます。
「とうが立つ」という言葉がありますが、
この花を咲かせたお菓子を見ていると、
とうが立つ、それも良し、
という心境になってきます。




【浅緑】
春霞がかかったような淡い緑。緑には青みが
ち、黄みがち、とありますが、平安時代には
青と緑の区別があいまいでした。それは、緑
そのものを染める植物染料がなかったことも
あるでしょう。藍と黄系統のかねあいから、
あらゆる緑色が生み出されていきます。

posted by mikk at 19:47| Comment(8) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月08日

いっこんぞめ − 一斤染



まちの女性の忍び色


花や情景を表すものが多い
色の名にはめずらしく、
重さを表す名がつけられています。
まだグラムが定着する前、
明治まで使われていた重さの単位です。

一斤といえば、食パンですが、
パンは本来の「一斤」の重さより軽めで、
いまではサイズを表すものとして使われています。

かつて「斤」は、紅花やお茶などの
重さを量る際に使われていました。
紅系の色には、深紅、韓紅、紅樺色など、
さまざまあありますが、
あえて重さを限定する名がつけられたのは、
それだけ厳しく制限されたことを
示しているのでしょう。
庶民にガマンを強いた色でもあります。

それでも、白とならべると、
ほんのり紅が引き立ってきます。
ゆるやかな線とともに、
心やすらぐお菓子「梅の雪」となりました。




【一斤染】
紅花一斤(約600グラム)で絹2反を染めた、
うすい紅染。おなじく淡紅の「退紅」は、約100
グラムの紅花で染めたのではとも、この「一斤
染」が色褪せたものでは、とも考えられていま
す。庶民に許される、ぎりぎりの紅色でした。

posted by mikk at 18:41| Comment(10) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月02日

くれない − 紅



禁じられるほどの愛され色


万葉の歌に詠まれ、
かさねの色目にも数々もちいられた紅。
いまも、恋文を表わす「紅の文」、
女性の涙を表わす「紅の涙」など
多くの言葉が残っているのは、
それほど好まれた色だったからでしょう。

紅の色を求めて染めを繰り返すには、
おびただしい量の紅花が必要でした。
それゆえに、高位の人にしか許されない
禁色となりました。

姿かたちは、アザミに似た紅花。
茎の先(末)についた花を摘むことから、
別名を末摘花といいます。

『源氏物語』では、
赤い花と赤い鼻をかけて
「末摘花」と呼ばれた方がいました。
それでも、一途に光源氏を思い続けた人。
その末摘花も、きれいでありたいと
紅をさしたことでしょう。

節分のおたふくの小さな小さな口もとに、
女性だれしにもある想いを見た気がしました。




【紅色】
紅花から黄みを除いた紅い色。「くれない」とも「べに」と
も読みます。濃いめの「深紅(ふかきくれない)」を染める
には、絹二反に約12キロの紅花を要したとか。かさねの色
目にある「紅匂(くれないのにおい)」は、深紅と淡紅の濃
淡になります。紅花は、もとは中近東やエジプトの原産で、
中国を経て日本に伝わったもの。現在は山形県の特産です。

posted by mikk at 23:45| Comment(6) | 如月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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