2013年01月30日

ひいろ − 緋色

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太陽が輝くような黄みの赤


1月らしいお菓子。
しかも、その年だけのものといえば
お題菓子です。
それは新年に宮中で行われる
歌会始のお題にちなんだお菓子のこと。

ひとつの題をもとに歌を詠む歌会は
奈良時代から行われていたようです。
天皇によって催される歌会は
鎌倉時代中ごろからはじまったとされています。

明治になって国民も参加できるようになり
勅題菓子ともお題菓子ともよばれる
和菓子がつくられるようになりました。

今年のお題は「立」。
「勅題『立』 旅立ち」と名づけられたお菓子は
日の出を思わせる緋色。
沖に漕ぎ出でた舟から見えるものは、さて……。

なんだろうと想いをめぐらせた頭に
浮かんできたのは
朝日に紅く染まった紅富士でした。




【緋色】
黄みがかった鮮やかな赤のこと。「あけ」とも読み、
飛鳥時代には「真緋(あけ)」として冠位十三階
の上から四つめにあたる色に定められています。
濃く染めた「深緋(こきあけ)」、浅い色あいの「浅
緋(あさあけ)」、能の装束に使われる「猩々緋(し
ょうじょうひ)」など、緋色の種類もさまざまです。











posted by mikk at 22:36| Comment(2) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月31日

ぎんねず − 銀鼠

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白銀のような明るい鼠色


大寒を過ぎても、凍える寒さ。
そろり、そろりと歩く日の多い仙台です。

それでも、和菓子屋さんには
水仙、紅梅、椿といったお菓子が並び、花ざかり。
その中で、すっと引き寄せられたのが
このお菓子です。

家紋のように見えるけれど
干支にちなんだものだそう。

今年は、たつ年。

それでも思い浮かばず
菓銘を聞いて、納得しました。
「宝玉龍の爪」。
宝玉をつかんだ龍の爪を表したものです。

日本画が浮かんでくる、この意匠、この色あい。
こんなに渋いお菓子に出会えるとは
うれしくなります。

いかにも英気を養えそうなお菓子は
龍神さまのご加護もありそう。

そう思いつつ口にふくむと
ほんのりゴマの香りとともに
お干菓子がほどけていきました。




【銀鼠】
かすかに青みをふくむ、白みがかった灰色。江戸時代か
らよく使われる、粋な色です。四十八茶百鼠(しじゅうは
っちゃ ひゃくねず)といわれるほど種類の多い鼠のつく
色には、抹茶にちなんだらしい緑みの利休鼠、江戸にち
なんだ青みの深川鼠、赤みがかった桜鼠に、牡丹鼠な
ど。色名を眺めているだけで、想像がふくらんできます。








posted by mikk at 23:51| Comment(0) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月31日

うめがさね − 梅重




紅梅の花たちのかさなり


雪見障子をあけると
庭には白雪。
清澄な眺めです。

ですが、この時季
古い民家の部屋という部屋は底冷えで
身動きするのもおっくうなほど。

家に冬ごもりというより
ひと部屋にこもってしまうほどです。
こもればこもるほど
なぜか寒さに弱くなっていくもの。

この生活から抜け出すにはと考えて
目から暖をとることにしました。

暖かい色みの花を
小ぶりなピッチャーに、ワイングラスに、漆の皿に
少しずつ飾って、棚の片隅に、鏡の前に。
目にふれるところに置くと
ひととき寒さを忘れます。

かつて、手あぶりくらいしかなかった時代は
今より、もっと寒かったはず。
身につけた紅梅の色みから
暖をとったのでしょうね。




【梅重】
濃い紅と、甘さのある紅梅色、2色をかさねた配色です。
紅梅の花のかさなりを表したとされています。別の説に、
白と紅梅色もあり、そちらは白梅を表した配色。どちら
の色みも、11〜2月までの冬に身につけられたもの。ち
なみに、このかさねの色めを構成するひと色「紅梅色
は、紅梅の花の色を表した、ほんのり淡い紅色です。


posted by mikk at 15:18| Comment(2) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月31日

しょうじょうひ − 猩々緋




鮮やかに冴えた黄みの赤


新しい年のはじまりは
鮮やかな赤に多く出合います。

緋色のお菓子に出合ったのも、2008年の睦月。
それは、どんと祭にちなんだ
“火祭”という銘のお菓子でした。

2010年の睦月は、「梅一輪」の花の色に
目の覚めるような猩々緋を見つけました。

「猩々」といえば、能の演目にもある
酒好きな霊獣のこと。
親孝行の酒売りの男性に、尽きることのない酒壺を授け
永遠の繁栄をもたらしたというお話です。

その風貌は恐ろしいほどの赤毛装束ですが
酔ってうかれて舞うさまは、とてもユーモラス。
めでたい演目です。

そう思えば、このお菓子も
梅の花に酔ったかのよう。
花に酔い、酒に酔い、お菓子の甘さに酔う
よい年になりそうです。




【猩々緋】
一輪咲いた花の色が、猩々緋にあたります。鮮やかな
黄みの赤である緋色の中でも、特に冴えた色み。中国
の伝説上の霊獣「猩々」の血の色ともいわれます。南
蛮船によって輸入された羅紗(羊毛をつむいだ毛織物)
の色でもあり、それは大名の陣羽織にも愛用されまし
た。江戸初期に名づけられた色名ともいわれています。

posted by mikk at 23:40| Comment(7) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月31日

うめねず − 梅鼠




紅梅がかった灰みの色


朝からずっと雪が降り続いています。
たいてい仙台では、昼過ぎると
積もった雪も消えることが多いのですが
今日は一日、街は白く覆われたまま。

こんなときは、のんびり、こたつでみかん。
家にこもるに限ります。
そんなくつろいだ気分にさせる「冬ごもり」です。

冬ごもりといえば、十二月の季語で
その時期に、この銘のお菓子も出まわります。
年末まで暖かかったので、気候にあわせたのか
この時季に見つけました。
二層になっている下の色が、梅鼠になります。

年があらたまって
しゃきんとしたお菓子が続いたので
なおのこと、気取りのない渋い色みに
目がとまったのかもしれません。

もし祖母がいたら
このような雰囲気だったのではと思わせる
どことなくほっとするお菓子です。




【梅鼠】
紫みの赤をふくんだ灰色。梅鼠にはかなり濃淡の幅
があり、赤みのある灰色を梅鼠と言うこともあるとか。
江戸時代に生まれた色、「四十八茶百鼠」のひとつ
です。梅鼠に似た色名に梅染もありますが、それは
梅の幹で染めた赤茶色で、異なる色みになります。

posted by mikk at 18:39| Comment(16) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月27日

たいこう − 退紅




万葉からある慎ましい淡紅色


「千扇(せんめん)」と名づけられた
吉祥を表す優雅な末広に
この色をあてていいものか
気持ちに折りあいがつかないまま、いつの間にか睦月も下旬。
少々、季を逃しての紹介になります。

扇で思いだすのは、学生の頃のこと。
京都の夏は暑く、窓からの風もなく
そこここに下敷きであおぐ学生がいました。
そのとき、先生が言われたひと言。
「日本には扇子という文化があります」

それを機会に扇を持つようになり
クラスでもごく自然に、扇を見かけるようになりました。

うちわは中国から伝わり
扇は日本で生まれたもの。
平安時代から使われていたといいます。

涼を求めるのは、まだまだ先ですが
大事にしたい文化です。




【退紅】
くすんだ淡紅色。粗染(あらぞめ)ともいいます。
万葉集の頃からある庶民に許された色で、わず
かな紅花で染めた淡い色、あるいは褪色した淡
紅であったのでは、と考えられています。退紅と
淡紅との違いは、くすみのある、なし、になります。

posted by mikk at 15:11| Comment(8) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

うめのかさね − 梅のかさね




白梅かすかに染まるかさね色


凪いだ海のかなたから
しらじらと明けてゆく初日を描いたお菓子
「新生(しんせい)」です。

白にうっすら蘇芳が透けて見える配色が
「梅」のかさねの色目。
かさなった部分が紅をさしたように見えますが
白梅をうつしたものになります。

二〇〇八年の睦月に紹介したのが、紅梅色。
二〇〇九年は、二色でみせる白梅の色みです。

平安時代には、白梅は香りを、紅梅は色を
愛でたといわれます。

二年前、新年のためにと
母が手折った枝が、白梅の花でした。
その情景は浮かんでくるのに
香りを覚えていないのは
そのとき摘みとっていたセリの香りにばかり
気をとられていたせいでしょう。

白梅の香りのかわりに残っているのが
このお菓子に、かすかに感じられた甘酸っぱさです。




【梅】
表に白、裏に蘇芳をかさねて、白梅を表した色目。白
が花、蘇芳が枝の色になります。配色にはいくつかの
説があり、蘇芳の代わりに、紅梅色、淡紅色のことも。
この配色は、十一月から二月まで身につけられました。
ちなみに蘇芳は、「師走」の項で紹介した色になります。

posted by mikk at 17:08| Comment(10) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月21日

びゃくろく − 白緑




白にちかい緑青のうす色

和菓子といえば、季節ごとに
定番のお菓子をわずかに変えたものが
店先に並ぶと思いがちです。
ですが、一年前とはまったく異なるお菓子を並べる
お店も少なくありません。

和菓子屋さんにも、それぞれあり
意匠(デザイン)なら現代的、古典的、写実的な店もあれば、
練りきりの風味がよい店、お干菓子の形のみごとな店など
良さもさまざまです。
そこには、はっきりと気風や想いがあらわれます。

伝統を守り続けていく、覚悟。
新たなことを取り入れていく、やわらかさ。

このお菓子「潦鶴(たずみづる)」は
鶴が水辺にたたずむ姿を表した、今風の色あわせ。
それでも、手前にみえる白緑は
奈良時代から仏像や仏画に使われてきた色。
いまも日本画に使われています。

守ってきた色なのか、残ってきた色なのか。
そこには大きな違いがありますが
いまここにあることには、変わりありません。




【白緑】
白みがかった緑。日本画の緑を描くときに
用いる岩絵の具、緑青(ろくしょう)を砕き
粒子を細かくしたものが、白緑になります。
ちなみに緑青の古名は、青丹(あおに)。
仏教とともに中国から伝えられた色です。

posted by mikk at 12:14| Comment(16) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月11日

うすはなざくら − 薄花桜




ほんのり紅みのかさね色


鏡開きをすれば
お正月気分も薄らいできます。
もう街は、いつもと変わりなく感じられますが
和菓子では、まだまだ新年を楽しめます。

二〇〇九年最初のお菓子は「えくぼ」という名の
薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)。
漢字がつらなると難しそうですが
自然薯(じねんじょ)をすりおろし
米の粉をねりこんだ生地で小豆餡をくるみ
蒸し上げたものです。

今月は、睦月。
陸びあう月にちなみ
いちばんに紹介したかったお菓子です。
順風とはいかない世の中ですが
笑う門には福来たるといいますから
このお菓子のように笑顔でいられればと思います。

このような白と淡紅の組みあわせが
かさねの色目でいう薄花桜。
桜は、まだしばらく先ですが
新年の祝いと、花はやはり桜にちなんで
このお菓子と色目になりました。




【薄花桜】
表に白、裏に淡紅をかさねた色目。白と紅をかさねる説も
あります。かさねの色目は、平安王朝に生まれた、きもの
の表地と裏地をかさねる色あわせのこと。この薄花桜は、
山桜の花の色をうつしたもので、季節でいえば春になりま
す。また、紫みの青の一色を薄花桜という場合もあります。

posted by mikk at 14:48| Comment(14) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月26日

あらいしゅ − 洗朱



ほのぼのとした暖か色


しんしんと冷える寒の時季には、
ぽかぽかとしたものに
包みこまれたくなります。

そんなとき目にとまったお菓子。
洗朱をいただいた様子に、
ほっこり穏やかな景色が広がった気がしました。

その名は「延寿」。
この一年がよりよきように
長寿を祈り祝うもの。
新しい年初めにふさわしいと思っていたら、
暦のうえでは、もうすぐ如月。

一日、一日を、たいせつにと
あらためて感じた
睦月の暮れどきです。




【洗朱】
黄みをおびた赤を「朱」といい、それをまろ
やかにした色あい。「洗朱」の成り立ちは、
朱を洗い薄めたとする説、風雨に洗われた
とする説、顔料の朱を水でといて上澄みを
流した後の色とする説など、諸説あります。

posted by mikk at 18:34| Comment(11) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月18日

うすべに − 淡紅



消えゆきそうな許し色


花びらに包まれた、
つつましやかなお菓子は「姫椿」。
どんなに可憐な花なのだろうと思ったら、
山茶花(さざんか)のことでした。
秋が深まった頃から春にかけて咲く
彩りのよい花からは、
ほんのり芳しい香りがただよってきます。

椿のようにも見える花ですが、
その違いは、散りぎわにあります。
花そのものを落とす椿と異なり、
姫椿は、ひとひら、ひとひら
五つの花びらが散ってゆく、
そのはかなさも
心ひかれるところ。

淡く消えゆきそうな色あいが、
どこか、しとやかな女性を思わせます。




【淡紅色】
わずかに紅さす色。平安時代に紅色は、高位
にしか許されない禁色でした。かろうじて庶民
に許されたのは、うっすらとした淡紅色。「退
紅(たいこう)」という名もあり、退色した紅色
のことを言うのでは、とする説もあります。      

posted by mikk at 14:14| Comment(8) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月11日

ひ − 緋



尊さのある華やぎ


お祝いの席やお茶席の緋毛氈(ひもうせん)、
巫女さんの緋袴(ひばかま)など、
見かけることはあっても、
お菓子にこの色を見つけるのは、
ほとんどあきらめていました。

それは、太陽の色であり、炎の色でもあるから。
それが、こんなに澄んだ色であったので、
思わず見とれてしまいました。

このお菓子は「火祭」。
1月14日に行われる、
どんと祭をモチーフにしたものです。
地域によって、どんど焼きとも言い、
境内でお正月飾りやお札などを焚くお祭り。

炎に手をかざし暖をとりながら、
夜空を照らす炎と、
舞いあがっていく火片を見つめていると、
つい手を合わせたくなります。
昨年の感謝と今年の願いをこめて。
そんな敬いの気持ちを感じさせる色です。




【緋色】
黄みがかった鮮やかな赤のこと。「あけ」
とも読み、飛鳥時代には「真緋(あけ)」と
して冠位十三階の上から四つめにあたる
色に定められています。濃く染めた「深緋
(こきあけ)」、浅めの「浅緋(あさあけ)」、
能の装束に使われる「猩々緋(しょうじょう
ひ)」など、緋色の種類もさまざまです。

posted by mikk at 18:55| Comment(12) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月07日

わかな − 若菜



匂いたつ色


ぴょんと飛んできそうな、
いたずらっぽい表情の「雪うさぎ」。
生き生きと感じられるのは、
初々しい色の耳をしているからでしょう。

この時季の緑といえば、
セリ、なずな、ごぎょう、はこべら、
ほとけのざ、すずな、すずしろ、
といった春の七草になります。
なかでも思い出すのは、
子どものころ摘みとっていたセリ。
ちらちらとした小さな葉が、か細い茎からのびるセリは、
いかにも心細げですが、
口に含んだときの香りは、
はっとするほど春のきざしが感じられます。

色だけでなく、香りも匂いたつ、
まるで、いろは歌の
「色は匂へど」のようです。




【若菜色】
芽吹いたばかりの淡い緑色が、若菜色。
卯月のころには、みずみずしい若草色。
皐月になると、苗代から田に移す早苗の
若苗色。おなじ緑であっても、数カ月の
間におこる緑のわずかな変化を、平安人
は冴えた感覚で感じとっていたのでしょう。

posted by mikk at 11:27| Comment(11) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

こうばい − 紅梅



一千年つづく流行色


ふくふくとしたほほ笑みのように見える、
このお菓子は「福梅」。
一年のはじめに作られる花のお菓子に、
新年を寿ぐ「福」の字が添えられています。

その名のとおり、梅の花の紅い色。
平安時代には、王朝の女性たちが新春に、
紅梅の襲(かさね)をまとったといいます。
その時代に「今様色(いまよういろ)」とも呼ばれた、
まさに旬の色。
いまも女性に好まれるこの色は、
一千年も前からの、流行色でもありました。

どれほど時が過ぎても、
美に対する感覚は、
それほど差がないのかもしれません。

つい先日の初詣、あなたはどのような色に
身をつつまれたのでしょう。




【紅梅色】
淡く紫がかった紅の色。平安中期の今様色は、
紅梅の花の色に似た濃いめの色だったようです。
冬から春にかけて装う襲色のひとつ「紅梅匂
(こうばいにおい)」は、紅梅と薄紅梅をかさね
た愛らしい色あわせ。時代がさがって室町時代
には、白と紅梅をかさねた「雪の下紅梅」という、
自然を映しとった色あわせも登場してきます。

posted by mikk at 11:01| Comment(8) | 睦月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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