2008年10月31日

うすこういろ − 薄香色




香木で染めた生成り色


季節にも、色があります。
青春、朱夏、白秋、玄冬というように。
その白い秋にふさわしいお菓子「光琳菊」です。

尾形光琳風の大らかな描き方で
情緒をあらわしたもの。
おなじ銘をもつお菓子は多くありますが
めずらしかったのが、このどっしりとした形です。

たぶん琳派の先駆けであった
本阿弥光悦が手がけた丸みのあるすずり箱に
ちなんだものでしょう。

じつは、このお菓子には
もうひとつ目を引くものがありました。
薄香色の下、こし餡にとどくまで
うっすらと淡紅がかっていました。
もしかして、「香」のかさねの色目かも……。

あれこれと考えをめぐらせば
ひとつのお菓子にも、秘かにこめられた思いが多いもの。
これまで、どれほど見過ごしてきたことでしょう。
奥ゆかしい色あいが
かえって気づかせてくれました。




【薄香色】
ほんのり上品な生成り色。丁子(ちょうじ)で染めた
「香色」の薄いものです。丁子はカレーなどにも使う
香辛料のクローブのこと。その丁子で染めた布が香
りをたたえていたことから、香色の呼び名がついたの
だそう。『源氏物語』にも、丁子染めとして登場します。


posted by mikk at 23:44| Comment(13) | 神無月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても淡い色あいですね
こういうやわらかな色あいこそ、ケーキやクッキーなどに洋菓子にはない、和菓子ならではでしょう

変わった形、、、と思ったら、すずり箱のイメージですか
Posted by さくらねこ at 2008年11月01日 00:59
おはようございます。
和菓子、優しい色をしてますね(^^
あまりに綺麗で、食べるのがもったいなくなってしまいそう。
Posted by スウ at 2008年11月01日 05:37
こんばんは。お邪魔致します。

こちらの御菓子、硯箱からきている形とは...
なんとも趣きがあります。
ほのかな色合いと相まって、とても素敵です。

琳派の黒漆に金粉をちりばめた雅びな硯箱の蓋をそっと開け、肌寒くなった季節に誰かを想って墨をする、
そんな静かな光景が思い浮かぶ、御菓子ですね。
Posted by Ogon at 2008年11月01日 19:45
*さくらねこさん*
奥ゆかしいというか慎み深いというか
和菓子らしい色あいですね。
そして、この形。
やっぱり変わっていますよね。
あえてこの形にしているのは
すずり箱を意識してのことだろうと思いますが
お店のかたに確認し忘れました。
今度ちゃんと確かめておきますね。
Posted by mikk at 2008年11月01日 21:33
*スウさん*
こんばんは。
すばらしく早起きさんですね。
それとも徹夜でしょうか。
こちらは、ついつい夜型になってしまうので
朝型に変えたいと思っているのですが
なかなかサイクルを変えられず困ったものです。
このお菓子、ほんとうに優しい色あいで
切りわけるのが惜しいほど。
ですが中には、はっとするほどの淡紅が隠れていました。
食べてみて初めてわかる楽しみもあるんですね。
Posted by mikk at 2008年11月01日 21:43
*Ogonさん*
「琳派の黒漆に金粉をちりばめた
 雅びな硯箱の蓋をそっと開け、
肌寒くなった季節に誰かを想って墨をする」
こんな時間を過ごしたいですね。
琳派のすずり箱はなくても、せめて墨をすり
かな文字でも、さらりさらりと書きすすめれば
清々しい気分になりそうです。
Posted by mikk at 2008年11月01日 21:50
ほんのりと優しい色合い、丸みをもった
穏やかな形…、「光琳菊」にしばし見とれて
しまいました。
うすこういろ…、初めてお目にかかった
色ですが、なんて落ち着いた奥ゆかしい
色なんでしょう…
日本の伝統的な色のすてきさには、いつも
驚かされます。
Posted by 風恋 at 2008年11月02日 23:30
気品のある素敵な色合いですね。
光琳菊のシンプルで優美な姿を引き立てています。
光琳菊をモチーフにした和菓子の意匠もいろいろ
見ますが、薄香色というところが新鮮に見えます。
穏やかで温かみのある色合いと意匠が調和して、
見るものを和ませてくれます。
Posted by ymatsu at 2008年11月03日 15:17
白秋も心に紅を隠し持つ

白地ならいかに染めよう老いの坂

玄冬にならぬようにと衣選ぶ
Posted by 日向子 at 2008年11月03日 16:17
*風恋さん*
あまりなじみのない色名ですが
優美な色と、そしてこの形。
あたたかな色あいと質感は
ふかふかの毛布のようにも見えますね。
少し肌寒い日に
くるまって眠りたくなるほどです。
Posted by mikk at 2008年11月03日 22:36
*ymatsuさん*
色と意匠、どちらかひとつだったら
これほど目を引かなかったでしょう。
和紙の作品づくりにも
通じるところがあるかもしれませんね。
互いに引き立てあってこそ。
それは、いろいろな組み合わせにも
言えそうですね。
Posted by mikk at 2008年11月03日 22:42
*日向子さん*
「白地ならいかに染めよう老いの坂」
「玄冬にならぬようにと衣選ぶ」
年齢を重ねるにつれて
白っぽい色になっていくのが
平安時代の感覚だと思っていました。
ですが、考えてみれば
白い秋から玄(黒)い冬へと変わっていくのですね。
明るい色の洋服をと思いつつ
やっぱり最終的に落ち着くのは、黒い色。
老いを超越する域にきているかもしれません。

Posted by mikk at 2008年11月03日 22:58
*みなさまへ*
たいへんお待たせしました。
お店に行く機会があったのですが
この形がすずり箱なのか
お店に立っておられるかたは残念ながらご存じなく
確認がとれませんでした。
このお店、意匠にたいへん凝っておられるので
きっと菓子職人さんには思い入れがあるはず。
いつかお話をうかがってみたいところです。
Posted by mikk at 2008年11月30日 16:47
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